訪問介護は他の介護職に比べ稼げない、というイメージが先行しがちですが本当のところはどうなのでしょうか。
収入が不安定、移動時間が多く効率が悪いなどネガティブな意見があるものの、訪問介護ならではのメリットも存在します。また、働き方次第では給料がアップする方法もあります。
今記事では、訪問介護は稼げないのは本当?給料を上げるために今からすること、訪問介護で働くメリットを紹介します。
訪問介護が稼げないと言われている理由
それではさっそく、訪問介護が稼げないと言われてしまう理由をみていきましょう
収入が不安定
訪問介護は他の施設介護など他に比べ安定した仕事がなく、安定した収入が稼げない場合があります。
というのも、訪問介護は登録した事業所に働ける時間(シフト)を提出し、希望に沿った時間内に介護に従事するという流れが一般的です。
希望時間通りに仕事ができる反面、希望する時間帯に仕事が少なかったり、最悪の場合まったく無かったりといった事態が起こってしまうこともあります。
また、訪問介護は「単位」で報酬が決まります。
単位は、地域ごとの単価をかけた額がサービス提供者の事業所に介護報酬として支払われる仕組みになっています。
単位によって介護報酬がいくらか地域ごとに決められているため、事業所の裁量には限界があるのが実際です。
つまり、どんなに個人が頑張っても経営や加算単位の影響が大きいため、収入も不安定になりやすいのです。
さらに、訪問介護は1:1で行われるので、利用者からキャンセルがあった場合は仕事が無くなってしまいます。
このような不安定さが、訪問介護が給料が低いといわれる原因の1つです。
移動時間が時給換算されない
訪問介護は、自宅など介護を必要としている方のところまで移動することになりますが、移動時に時給換算されないのも稼げない原因の1つと言われています
移動時間の賃金手当はあるものの、労働として認められる移動時間の賃金額は事業所ごとに違い、差が生じてしまいます。
訪問介護において、この移動時間の賃金の影響は大きく、距離や時間によっては拘束時間に対する報酬が割に合わないといったケースがあるのです。
厚生労働省労働基準局の「訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために」によると、最低賃金額を下回らない範囲内で、労働者と使用者の話し合いによって決定して良いとされています。
Q1 訪問介護の業務に従事した時間に対して支払う賃金額と、移動時間に対して支払う賃金額は、異なってもよいのですか
A1 訪問介護の業務に直接従事する時間と、それ以外の業務に従事する時間の賃金水準については、最低賃金額を下回らない範囲であれば、労使の話し合いによって決定するじろは差し支えありません
厚生労働省労働基準局が発行する「訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために」より
現在、訪問介護に従事している方は参考にしてみるといいかもしれません。
給料を上げるために今からする事
それでは、訪問介護として働きながら少しでも給料を上げたい場合、どのような行動を起こせば良いかみていきましょう。
掛け持ちをする
登録する事業所を複数掛け持ちすることで給料が上がる可能性がグッと高くなります
訪問介護は事業所に登録して仕事に従事することになることになりますが、1つである必要はありません。
事業所ごとに請け負える案件には限りがあるので、複数に登録することで自分に合う案件に出会う幅を広げることができるのです。
1つの事業所のみでは希望する時間帯に十分働けない、という場合は複数の事業所に登録することで仕事をもらえる可能性が高まります。
まずは1つの事業所に登録し、それでも埋まらなかった時間を埋めるかたちで2つ目の事業所に登録する、といった方法をとれば働きたい時間が埋まりやすくなり効率的に働くことができます。
「なかなか仕事がもらえない」と悩んでいる方は、希望勤務エリアに訪問介護の事業所の求人がないかチェックしてみてはいかがでしょうか。
時給や手当の高い事業所を探す
時給や手当は事業所によって異なり、それによって給料にも大きく影響します。
例えば、時給は得られる収入の指標になります。
同条件の事業所ではあれば、時給の高いところを選ぶことで同じ時間であっても収入は増えることになります
もう1つ注目したいのが手当の充実度です。
・土日祝日出勤手当
・介護福祉士などの資格手当
・年末年始出勤手当
など、時給に上乗せして支払われる手当も収入には重要になってきます。
土日に働きたいから土日に手当があるところにしよう、といったように自分にあった手当がある場合は、優先的に選ぶと良いでしょう。
資格をとる
介護資格を取得することも給料アップでは重要です
最近では、資格を重視している事業所も増えてきており、資格を持っているだけで時給アップや、よりよい条件のところへの転職など資格のメリットが大きくなってきています。
未経験の方は介護職員初任者研修など、比較的簡単な研修の修了で問題ありません。
しかし、長い期間介護訪問を含め介護の仕事に従事する場合「介護福祉士」を目指すことをおすすめします。
介護福祉士の資格を取得するには、「実務経験3年・実務者研修修了」という条件が必要なので、訪問介護を初めてすぐに取得することはできません。
長い目で見ながら、給料アップするだけでなくキャリアアップの意味でも資格の取得を検討してみましょう。
訪問介護で働くメリット
それでは、訪問介護の魅力はどのようなものがあるでしょうか。
訪問介護で働く場合のメリットについてもみていきましょう。
時間の融通がきく
登録制や派遣型であれば、働く時間を自由に決められるというメリットがあります
働く時間をこちらが指定できるのでワークライフバランスをとりながら働くことができるのです。
・子育てで働く時間が限られてる
・学校に行っていて毎日は働けない
・他にも仕事をしている
といったような事情の方も多いでしょう。
このように、自分の好きな時間を指定して働くことができるのが、訪問介護の大きなメリットといえるでしょう。
さまざまな経験ができる
訪問介護は、利用者によって業務内容が大きく異なります。
寝たきりの方もいれば、ある程度自立して動ける人など介護度の差はもちろん、利用者の性格や特性に応じて支援していくことになります。
介護施設のように周囲にいろいろな利用者がいる環境ではないので、その人に向き合った支援ができます。
訪問介護は、一人ひとりに合った幅広い介護スキルを身につけることができるのです
人間関係に悩まされない
職員などの人間関係に悩まされにくいのも、訪問介護のメリットです。
介護施設のように他の職員と一緒に利用者の支援をする場合、職員間でのトラブルは付きものと言っても過言ではありません。
「人間関係が上手くいかず大好きな介護の仕事を辞めることになった」という声もよく聞きます。
その点、訪問介護は基本的に利用者との1対1での支援となります。
そのため、職員に気を使いながら利用者の支援をして、というように必要以上に周りに気を使うことなく支援に集中することができます。
介護の仕事は好きだけど、人間関係がどうしても苦手という方は訪問介護の働き方が合っているかもしれません
まとめ
訪問介護は稼げないのは本当?給料を上げるために今からすることから、訪問介護で働くメリットを紹介しました。
訪問介護は稼げない現状はあるものの、うまく立ち回ることで収入をアップする方法はあります。
また、人間関係に悩みにくいなど訪問介護ならではのメリットもあることが分かりました。
超高齢化社会の日本で介護業界はいわゆる「食いっぱぐれない」業界の1つで、それに伴い訪問介護職員の需要も更に高まっていくことが予想できます。
自由に働くことができる訪問介護の仕事、今記事をきっかけに興味をもってもらえると幸いです。