転倒事故 報告書 偉そうなこと言うな

介護福祉士 資格証

 

こんにちは、介護福祉士みきこです。

 

介護現場で働いていると、避けられない課題のひとつとして「利用者の転倒事故」があります。

転倒事故は、利用者にとって身体的な痛みや生活への影響をもたらすだけでなく、介護職員にとっても精神的な重荷となります。

しかし、現実として、この問題を完全に排除することは難しく、むしろそれをどう受け止め、次にどう活かすかが求められるのではないでしょうか。

本稿では、利用者の転倒事故が職員に与える影響、現場の課題、そして解決策について詳しく考察します。皆さんはこの問題についてどのように向き合っていますか?

 

転倒事故とは避けられない現実

 

まず理解しておきたいのは、「転倒事故をゼロにする」という目標が、現場においてどれほど非現実的であるかということです。

 

いくらバリアフリーで整備されている施設であっても、利用者が高齢であったり身体的な弱さを抱えていたりする以上、転倒は完全には防げません。

それどころか、個人差によっては本人が無理をして立ち上がったり、自分で歩こうとして転倒してしまうケースも多々あります。

 

人間である以上、転ぶことそのものを完全に排除することは不可能です。

施設の中には、職員一人あたりがケアしなければならない利用者の数が多すぎるところもあり、見守りが行き届かない場合もあります。

これは構造的な問題であり、個々の職員の努力だけではどうにもならない部分があります。

 

それでも現場では、「転ばせてはいけない」という強いプレッシャーが常につきまとっています。

このプレッシャーが、職員の精神的な負担をさらに重くしているのです。

 

 

 

「報告書1枚で済むわけがない」という現場の声

 

事故が発生した際、管理者や上司から「現場職員は報告書1枚を書くだけで済むかもしれないけど、利用者は人生が変わるかもしれない」といった指摘を受けることがあります。

一見、利用者の立場を考慮した意見のようにも聞こえますが、現場職員からするとその言葉がさらに自分を追い詰めるものになることもあります。

 

介護職員は、利用者が転倒した場合、報告書を書くことがゴールではありません。

その後も、「自分の不注意で転倒を防げなかったのではないか」という思いに苛まれ続けます。

転倒事故をきっかけに、何日も引きずる職員もいれば、それが原因で心のバランスを崩してしまう人もいます。

 

現場の職員は、「ただの報告書1枚」で済むと思っているわけではありません!

それでも、管理者や上司がこのような言葉をかけることで、職員のメンタルヘルスに悪影響を与えている場合もあるのです。

 

 

 

介護職員が感じる罪悪感の大きさ

 

利用者が転倒したとき、「転ばせてしまって申し訳ない」という罪悪感は、介護職員にとって非常に大きなものです。

特に、普段から信頼関係を築いている利用者が転倒してしまった場合、その感情はさらに深刻になります。

利用者が「転んでしまって迷惑をかけてごめんなさい」と謝る場面も少なくありません。

 

しかし、「なんで転ばせたんだ」と怒られることはほとんどないにもかかわらず、職員自身が自分を責め続けてしまうのです。

こうした罪悪感が積み重なることで、メンタル面に大きな負担がかかります。

 

職員が自分の中で「もっと注意していれば防げたのではないか」と思い悩むあまり、仕事に対する自信を失い、やがて退職に追い込まれることも珍しくありません。

このような状況が繰り返されることは、業界全体にとって大きな課題といえるでしょう。

 

 

 

管理者の姿勢が職員に与える影響

 

現場職員が罪悪感に苦しんでいる中、管理者や上層部の対応がさらに職員を追い詰めるケースもあります。

 

たとえば、転倒事故が起きた際に、管理者が「犯人捜し」を始めるような態度を取ることがあります。

以前、ある管理者が転倒事故を起こした職員を名指しで責め立て、「あの人がミスをしたせいだ」と上層部に報告した事例がありました。

このような姿勢は、職員のモチベーションを大きく損ねるだけでなく、職場全体の雰囲気も悪化させます。

 

管理者には、まずは現場の職員を守る姿勢を示してほしいと感じます。

職員を守らない管理者のもとでは、現場の士気が下がり、結果的に利用者のケアの質にも影響が出てしまいます。

管理者の責任とは、事故の原因を追及するだけではなく、職員が安心して働ける環境を整えることにもあるのではないでしょうか。

 

 

 

転倒事故が与える精神的なダメージとの向き合い方

 

転倒事故を起こした職員がその後どのように気持ちを切り替えるかは、長く介護職を続けていくうえで非常に重要。

 

私自身、利用者が転倒してしまった際に、布団から出られないほど落ち込んだ経験があります。

しかし、そのままの状態で仕事を続けるわけにはいきませんでした。

翌日からは意識を切り替え、その方のケアに敢えて積極的に関わることで、自分の気持ちを少しずつ克服していきました。

この経験を通じて、私は自分自身が成長できたと感じています。

 

また、転倒事故の後に利用者との信頼関係を再構築することができたことで、利用者からも「もう謝らないでください」と言われるようになりました。

このような経験は、職員としての成長につながる重要な機会でもあります。

 

 

 

職場環境と人員不足の現実

 

転倒事故が発生する背景には、施設内の人員不足や過密な業務スケジュールが影響していることが少なくありません。

一人の職員が多くの利用者を担当しなければならない状況では、どうしても注意が行き届かない部分が出てしまいます。

しかし、上層部がこの現実を十分に理解していない場合も多く、結果として現場職員が過剰な責任を負わされることになります。

 

人員配置が十分でない職場では、利用者の見守りを徹底することが困難。

たとえば、トイレに行きたいと訴える利用者が複数いる中で、全員に同時に対応するのは不可能です。

それでも、「転倒を防げなかったのは職員の責任だ」と言われる状況が続けば、職員が疲弊してしまうのは当然の結果です。

 

 

 

利用者や家族との意識の共有の必要性

 

利用者やそのご家族に対して、介護施設の現実を正しく理解してもらうことも重要です。

「施設に入ったのだから絶対に安全であるべき」という考え方は、現実的ではありません。

施設側ができる限りの努力をすることは当然ですが、それでも転倒事故を完全に防ぐことはできないという現実を共有する必要があります。

 

 

 

メンタルサポート

 

介護職員が抱える精神的なストレスに対するケアは、業界全体として取り組むべき課題。

たとえば、心理カウンセラーを配置する、あるいは職員同士が気軽に相談し合える環境を整えることが必要です。

職員が一人で問題を抱え込むのではなく、周囲と共有しながら働ける職場環境が求められます。

 

 

 

まとめ

 

転倒事故は介護現場において避けられない問題です。

しかし、それを必要以上に自分を責める材料にするのではなく、次のケアにどう活かすかを考えることが重要です。

職場全体でこの問題に取り組み、職員が安心して働ける環境を整えることが、利用者のケアの質を向上させることにつながるでしょう。

あなたの職場では、この問題にどう取り組んでいますか?