家族 差し入れ 食べてはいけない

介護福祉士 資格証

 

介護施設で働く女性介護福祉士として、日々の業務でさまざまなご家族と接する中で、利用者様に対する差し入れの問題に直面することがあります。

特に、「食べてはいけない」と何度も伝えている食品が繰り返し持ち込まれることに、困惑や無力感を覚えることもしばしばです。

ご家族にとって善意での行動が、利用者様にとって重大なリスクとなる現実を、多くの人に知ってほしいと思います。

本記事では、この問題の背景や解決策を詳しく解説します。

 

嚥下障害のリスクと家族の無理解

 

利用者様の中には、嚥下機能が低下している方が多くいます。

こうした方に、飴玉やこんにゃくゼリーのような食品を持参することは、命に関わる危険行為です。

しかし、それを繰り返すご家族が少なくありません。

 

例えば、ある利用者様のご家族に「誤嚥のリスクが高いため固形の飴玉は避けてください」と繰り返しお願いしていたにもかかわらず、次の面会でまた飴玉が持ち込まれたことがありました。

その結果、利用者様が飴を口に含んでむせ込んでしまい、緊急対応に追われたことがあります。

 

このような事例を見ると、家族がリスクを本当に理解していないのではないかと感じざるを得ません。

 

 

 

糖尿病患者に対する甘い差し入れの問題

 

糖尿病を患う利用者様に甘いお菓子を差し入れる行動も大きな問題です。

「本人が好きだから」と言ってベビーカステラや大福を大量に持ち込む家族が後を絶たず、私自身もその対応に苦労した経験があります。

 

以前、ある利用者様の病室でゴミ箱を確認した際、ベビーカステラの包み紙が20枚以上捨てられていたことがありました。

これを全てその日のうちに食べたと推測され、その後の血糖値測定で数値が異常に跳ね上がり、医師の対応が必要な状態に陥りました。

家族には「少しくらいなら大丈夫」という油断があるようですが、その「少し」が命に関わる結果を招くことを理解してほしいと思います。

 

 

 

塩分制限を無視する差し入れ

 

腎臓病などで塩分制限が必要な利用者様に対しても、漬物や塩辛といった高塩分の食品が持ち込まれることがあります。

これらの食品は味が濃いため、ご本人が喜ぶことも多いのですが、その代償として健康への悪影響が懸念されます。

以前、ある利用者様のご家族に「塩分が制限されているので漬物は避けてください」とお願いしていたにもかかわらず、大量の漬物が持ち込まれたことがありました。

その後、利用者様が食べた漬物が原因で血圧が急上昇し、緊急対応を余儀なくされました。

こうした事態を防ぐために、施設側でも食品チェックの徹底が必要です。

 

 

 

家族が抱える「記憶のギャップ」

 

家族が持ち込む不適切な食品の背景には、「元気だったころの記憶」と「現在の状態」のギャップがあることが少なくありません。

たとえば、家族の頭の中では「以前はよく漬物を食べていた」という記憶が鮮明に残っており、それが現在の状況に影響を与えている場合があります。

このギャップを埋めるためには、現場職員が利用者様の状態を詳しく説明し、現実を理解してもらう努力が必要です。

 

 

 

認知症の影響も考える必要性

 

家族自身が高齢化し、認知症の影響で状況を正しく理解できていない場合もあります。

このようなケースでは、何度説明しても家族が覚えられなかったり、内容を誤解してしまうことがあり、現場職員が繰り返し対応に追われることになります。

このような状況を予防するため、施設側で家族に食品チェックを依頼し、不適切なものが持ち込まれるのを未然に防ぐ仕組みが必要です。

 

 

 

食事制限の重要性を理解してもらうには

 

差し入れによるトラブルを減らすために、施設では差し入れ品をチェックし、不適切な食品については家族に持ち帰ってもらう対応を取ることがあります。

また、契約時に食事制限の重要性について詳細に説明し、書面で確認を取ることも有効です。

さらに、差し入れを受ける前に家族と直接話し合いを行い、誤解を解消することが重要です。

 

 

 

家族の自己満足が招く危険性

 

家族の中には、「利用者様のために何かをしている自分」に満足している様子が見られることがあります。

本人の健康状態を考慮せず、「これを持っていけば喜んでもらえるだろう」という自己中心的な考え方が、利用者様にとって大きな危険をもたらすことがあります。

このような家族には、介護職員が利用者様の健康状態とリスクをしっかりと伝え、行動を見直してもらう必要があります。

 

 

 

利用者の命を守る毅然とした対応

 

施設側が家族に対して遠慮しすぎることで、命に関わるトラブルが防げないこともあります。

特に、食べてはいけない食品が持ち込まれる場合には、たとえ家族が反発しても毅然とした対応を取らなければなりません。

「家族だから」といって特別扱いせず、利用者様の安全を最優先に考える姿勢を貫くことが重要です。

 

 

 

まとめ

 

「食べてはいけないもの」を差し入れる家族の行動は、善意から始まることが多いものの、利用者様にとって命の危険を伴う重大な問題となります。

家族の行動を理解し、丁寧に説明する努力を続けると同時に、施設としてのルールを徹底し、利用者様の命を守る対応を取ることが必要です。

この問題を解決するためには、家族、利用者、施設職員が一丸となり、健康を最優先に考える意識を共有していくことが求められます。