介護現場で働いていると、理不尽な状況に直面することがあります。
利用者やその家族からの暴言や恫喝、時には暴力…。
こんな厳しい環境の中で、「事業所が守ってくれない」という状況に追い詰められたら、どう感じるでしょうか?
事業所がヘルパーを守らないなら、そんな職場にいる意味はないと思いませんか?
今回は、ヘルパーを守らない事業所の実態と、それが現場にどんな影響を及ぼすのかについて考えます。
ヘルパーを守らない事業所の現状~利用者や家族との関係
介護現場では、利用者やその家族とのトラブルが避けられないことがあります。
暴言、恫喝、無理難題…。
中には感謝の気持ちを持たず、介護スタッフを下に見る態度を取る人もいます。
このような問題が起きた際、事業所がきちんとヘルパーを守ってくれないケースが多いことに驚かされます。
たとえば、「利用者の家族からの理不尽な要求に耐えられない」とヘルパーが相談しても、「向いてない」「メンタルが弱すぎる」と突き放される。
こうした対応を受けたら、ヘルパーとしてのやりがいも責任感も失われてしまいますよね。
ヘルパーを守るべき事業所が逆に「我慢しろ」と言うのは、本末転倒ではないでしょうか?
「守られない」と感じた時点で事業所としての敗北
令和の時代になり、パワハラやセクハラといったハラスメントへの理解は少しずつ進んできました。
しかし、利用者や家族からのハラスメントに対して、毅然とした対応ができない事業所はまだ少なくありません。
事業所としてスタッフを守る姿勢が見られない場合、その時点で「スタッフに見限られた」と言っても過言ではないでしょう。
介護事業所が存在できるのは、利用者だけでなく、現場で働くヘルパーがいるからこそです。
それなのに、ヘルパーに「メンタルが弱い」だの、「どうするの?」だのと言い放つ事業所が、果たして信頼されるでしょうか?
困難な利用者がいるからこそ事業所の役割が問われる
確かに、介護は「利用者がいてこその仕事」です。
しかし、困難な利用者や家族に対してこそ、事業所が積極的にサポートする必要があります。
たとえば、暴言や暴力が続く場合、事業所が率先して家族に改善を促したり、包括支援センターを交えた話し合いをしたりするべきではないでしょうか。
事業所がヘルパーを守らないことで、最終的に困るのは誰でしょうか?
利用者や家族がトラブルを繰り返す場合、結局はどの事業所でも断られ、サービスを受けられなくなるのは本人たちです。
それなのに、「利用者優先」の名のもとにヘルパーを犠牲にしていては、介護現場全体が疲弊してしまいます。
重度訪問介護の現場で必要な「守られる環境」
重度訪問介護の現場では、特に精神的な負担が大きいです。
長時間のケアが必要な場合や、利用者の状態が厳しい場合も多く、ヘルパーの精神力が試されることが少なくありません。
それでも続けられる理由は、「事業所が守ってくれる」という安心感があるからです。
事業所がヘルパーの話を聞き、問題解決に向けて動いてくれると感じられる場合、多少の困難があっても「頑張ろう」と思えます。
しかし、相談しても「他に入れる人がいないから我慢して」と返されるだけでは、やる気も消えてしまいますよね。
守られない環境では、どれだけ頑張っても限界が来てしまうのです。
利用者や家族に「感謝の気持ち」がないとき
利用者やその家族の中には、「自分たちがサービスを受けるのは当然」と考え、感謝の気持ちを忘れてしまっている人もいます。
法律が利用者優先に変わったことも影響しているのかもしれません。
「お世話になっています」という気持ちが「金を払っているんだから当たり前だ」という態度に変わってしまう…。
このような横柄な態度に直面すると、「なぜこんな人たちのために働いているんだろう」と感じてしまいますよね。
ヘルパーとして働く上で、利用者や家族の感謝がモチベーションになることは大きいです。
感謝のない利用者に長期間対応させられると、精神的な疲れはどんどん蓄積していきます。
感謝を忘れている利用者に対しては、事業所が間に立って態度を改めるよう促すべきです。
サービス提供を断ることも事業所の責任
どんなに厳しい利用者や家族に対しても、「サービスを提供しなければならない」と思っている事業所が少なくありません。
しかし、これは間違い!
利用者や家族の態度が改善されない場合、契約を解除するのも事業所の役割です。
「うちではこれ以上対応できません」と伝えることは、ヘルパーを守る上で重要な選択肢の一つです。
もちろん、契約解除に至るまでには包括支援センターなどの関係機関と協力し、可能な限りの努力をする必要があります。
それでも改善が見られない場合は、毅然とした態度を取るべきです。
ヘルパーの安全と尊厳を守ることが、事業所の最低限の責任ではないでしょうか。
ヘルパーを守らない事業所が招く離職の波
事業所がヘルパーを守らない状況が続くと、最終的には離職者が増えます。
「この事業所では働けない」と判断したヘルパーが次々と去っていけば、事業所そのものが立ち行かなくなるでしょう。
介護業界は慢性的な人手不足に悩まされている中で、人材を軽視する事業所が生き残れるはずがありません。
ヘルパーの側も、守られない職場で無理を続ける必要はありません。
守ってくれる事業所は他にもたくさんあります。
転職を決意することが、精神的な安定を取り戻す第一歩になることもあるでしょう。
「守られる環境」が利用者とヘルパーの双方を救う
ヘルパーが安心して働ける環境が整っていれば、利用者へのサービスの質も向上します。
事業所がヘルパーを守る姿勢を示すことで、利用者や家族の態度も変わる可能性があります。
「自分たちの行動がヘルパーの負担になれば、サービスが受けられなくなる」と認識させることが、良好な関係を築く第一歩です。
まとめ
ヘルパーを守らない事業所には、長期的な未来はありません。
ヘルパーがいなければ、事業所も利用者も成り立たないのです。
利用者や家族からのハラスメントを放置し、ヘルパーを犠牲にする事業所が淘汰されるのは当然の結果です。
もし今の事業所が守ってくれないと感じるなら、転職を考えるのも一つの手段です。
ヘルパーには「働きやすい環境を選ぶ権利」があります。
守られるべき存在であることを忘れず、自分にとって最善の道を選びましょう。
そして、事業所には「スタッフを守ることが事業所の存在価値である」という意識を持ってほしいものです。