こんにちは、そしてあけましておめでとうございますm(_ _”m)、介護福祉士みきこです。
介護の現場では、認知症高齢者が食事を拒否する状況に直面することが少なくありません。
そのような場合、職員が無理にでも食事を摂らせようとする場面を見ることがありますが、それを目撃するたびに「これが果たして介護と呼べるのだろうか」と疑問を抱きます。
無理に食べさせることが本当に高齢者のためになるのか、そしてそれを続ける現場の在り方はどうあるべきか、今回じっくり考えていきたいと思います。
あなたならこの問題にどのように向き合いますか?
初めて見た無理な食事介助の光景が与えた衝撃
私が介護の世界に入って間もない頃、ある熟練の介護士が認知症の高齢者に無理やりスプーンで食べ物を押し込む光景を目撃しました。
そのとき、私は強い違和感を覚えました。本人は明らかに食べたくないという態度を示していましたが、それを無視して、口を開かせようとする姿は、まるで給餌のようでした。
「食事は生きるために必要なもの」とは言うものの、拒否する人に対してこのような形で食べさせるのは正しいことなのかと、そのときから考えさせられました。
実際に高齢者が食べたくないと意思を示している場合、その背景にはいくつもの理由が考えられます。
加齢や病気によって食欲が低下していることもあれば、嚥下機能の低下や体調不良によって食べることが苦痛に感じていることもあります。
それを無視してただ食べさせるのでは、介護ではなく単なる作業になってしまうのではないでしょうか。
最初はただ「間違っている」と感じていたこの光景ですが、今では介護全体の在り方を問う深いテーマとして私の中に根付いています。
無理に食事を摂らせる行為は虐待ではないのか?
認知症高齢者に無理やり食事を摂らせることが虐待に当たるのではないか、という議論があります。
確かに、本人が明確に拒否の意思を示している場合、それを押し切って食べさせる行為は虐待と捉えられる可能性があります。
介護の本質は、利用者の意思を尊重し、尊厳を守ることにあるはずです。
それにもかかわらず、現場では時に「全量摂取」を求めるプレッシャーがあり、それが職員に無理をさせ、利用者にとっても負担になるという現状があります。
高齢者が食事を拒否する理由をもっと深く理解することが大切です。
特に認知症の方の場合、自分がなぜ食べたくないのかをうまく表現できないことがあります。
そのため、「食べたくない」という態度の裏にどのような身体的・心理的な問題が隠れているのかを見極める必要があります。
それを怠り、「とにかく食べさせなければ」という一辺倒な考えで対応するのは、高齢者の尊厳を無視する行為と言えるのではないでしょうか。
食品ロスの現状と介護現場の矛盾
介護施設では、認知症高齢者の食事拒否が食品ロスにつながるケースも多く見られます。
施設では高齢者のために、トロミをつけた食事や減塩の特別食、補助食品などが準備されますが、実際に食べられるのはほんの数口。
残りはそのまま廃棄されることが日常的に行われています。
この現状を見ると、「私たちがしていることは本当に高齢者のためなのか」と疑問を感じざるを得ません。
食品を粗末にしてはならないという教えを受けて育った私たちにとって、これは非常に心苦しい問題です。
また、こうした食品ロスは環境問題にも直結します。
現在、SDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれている時代において、こうした無駄を改善する努力が必要ではないでしょうか。
食べられないものを無理に用意し続けることが、果たして福祉なのかと改めて考えさせられます。
家族の期待と現場の現実の食い違い
家族が高齢者に対して「家では食べていた」と主張するケースはよくあります。
しかし、過去の状態と現在の状況は全く異なることを理解していただきたいと思います。
認知症が進行すると、食欲が低下したり、食べ物を認識できなくなったりすることがあります。
それにもかかわらず、「家では残さず食べていたのに」といった声を聞くと、現場としてはどう対応すべきか悩んでしまいます。
もし家族が食べさせ方について不満を抱くのであれば、一度自分たちで介助を試してみてほしいと思います!
認知症高齢者に食事を摂らせることがどれだけ大変か、実際に体験すれば理解が深まるはずです。
食事介助は単なる作業ではなく、利用者一人ひとりの状態に合わせた対応が求められる非常に繊細な仕事です。
家族の協力が得られれば、職員の負担も軽減されるでしょう。
全量摂取主義が生む問題と見直しの必要性
介護の現場では、時折「全量摂取」を目標とするケースがありますが、これが利用者にとって負担になることは少なくありません。
食事量が減るのは高齢者にとって自然なことであり、無理に全てを食べさせようとするのはかえって逆効果です。
それにもかかわらず、「食べさせなければならない」というプレッシャーが職員にも家族にも存在しています。
こうした状況では、職員が「自分の時だけ食べなかった」と責められるのを恐れるあまり、不正に食事量を記録するケースも発生します。
これは職員にとって非常にストレスのかかる環境であり、改善が求められる部分です。
介護は一方的に「食べさせる」ものではなく、利用者の意思や体調を尊重しながら行われるべきです。
意味のない延命措置や摂食嚥下訓練の限界
延命を目的とした経管栄養や摂食嚥下訓練が、必ずしも利用者のためになっているわけではありません。
無理に訓練を続けることで、利用者の身体的・精神的負担が増える場合もあります。
また、こうした訓練に伴う身体拘束が行われることもありますが、これは本当に利用者の尊厳を守る行為なのでしょうか。
介護現場では「生かすためのケア」が求められる一方で、「生活の質を向上させるケア」の重要性が忘れられることがあります。
延命だけを目的とする介護ではなく、利用者一人ひとりの最善を考えたケアが必要です。
これを実現するためには、現場だけでなく社会全体での意識改革が求められます。
まとめ
最終的に、介護の現場で重要なのは高齢者の尊厳を守ることです。
無理に食事を摂らせることがその人のためになっているのかを改めて考え、一人ひとりに適した方法を見つけることが求められます。
そして、家族や社会全体にもこの問題に関する理解を深めてもらうことが必要です。
あなたなら、この課題にどう向き合いますか?