生活援助従事者研修とは介護資格の1つで、2018年に新設されました。
生活援助従事者研修って、いつからできたの?と知らなかった方も多いのではないでしょうか?
訪問介護事業所などの訪問介護を担う人材を育成するための研修として知られており、注目度が高まっています。
そんな生活援助従事者研修について解説していきます。
生活援助従事者研修は、いつから取得できるかご存じでしょうか?
生活援助従事者研修の特徴となるのが、訪問介護の中でも生活援助サービスのみに特化した研修であることです
なお、一部自治体で行われている生活支援サービス従事者研修とは、違う研修であることを理解しておくことが必要です。
身体介護は別の資格が必要となるため、生活援助サービスのみを行う人材を育成するための物といえます。
生活援助となるのは掃除・洗濯・調理などごく一般的なものですが、中には薬の受け取りや、衣替えのための衣類の整理整頓などを行うことも少なくありません。
注意したいポイントとなるのは、訪問先の高齢者の移動や食事などの介助を行うことは一切できないことです。
身体介護の一部にあたるため、生活援助従事者の資格だけでは業務の範囲外となります。
あくまでも家事サービスをメインとしたサポートを行うことが仕事であるため、高齢者の介護をしたい場合は別の資格を取得して行わなければなりません。
生活援助従事者研修ができた理由とは
いつから生活援助従事者研修を取得できるの?と考えている方もいらっしゃると思いますが、
対象者は訪問介護事業に従事しようとする者若しくは在宅・施設を問わず介護の業務に従事しようとする者
厚生労働省 介護員養成研修の取扱細則についてより
と厚生労働省から発表されています。
成人であれば、主婦であっても育児最中のお母さんであっても受講できることになります
訪問介護士でもできる生活援助だけをなぜ新たな資格としたのか、その理由となるのは人手不足です。
介護と生活支援を両方一度に行うと、介護士の負担となることが多くなります。
特に訪問介護事業所で必要とする訪問介護士は、介護職員初任者研修の資格が必須。
資格を持っている人はそれほど多くないため、なるべく取得時間の短い資格を創設し、新たな人材を確保することが必要となっているのです。
あくまでも介護ではなく生活面のサポートとなるため、できることはそれほど多くないと感じる人も少なくありません。
しかし、高齢者にとっては難しい作業を難なくこなす人として認定され、頼りにされる存在となります。
訪問介護士同様、多くの人をサポートすることができる仕事の一環として生活援助従事者研修は、今後即戦力となることを期待される資格です。
生活援助従事者研修の学習内容は?
基本的に生活援助従事者研修を受けるための資格は存在していませんので、だれでも受講することが可能となっています
約59時間の研修を受けることが必須となっていますが、そのうち29時間は通信学習で学ぶことも可能。
学習内容は基本的に初任者研修とほぼ変わりません。
介護の基本や介護・福祉サービスの理解と医療との連携など、約9項目59時間の受講を必要としています。
なお、受講するにおいて、介護の尊厳の保持・自立支援など、高齢者の尊厳を大切にすることが望まれる授業も多いです。
介護だけではなく老化と認知症の理解や、生涯に関する理解なども学ぶことが必要となっています。
特に障害や認知症に関しては、生活面をサポートする上で必須です。
また、介護の基本を理解し、考えている介護と違うといわないようにするために、正しい知識を学ぶなど、適切な学習が必要となります。
授業のうち比較的座学が多いといいますが、24時間の受講が必要となる「こころとからだのしくみと生活支援技術」は移動・移乗に関連した演習を2時間以上受けることが決められているのもポイント。
これ以外にも、職務の理解や振り返りの項目では施設の見学などの実習を活用することが可能と定められおり、必要なら施設の見学などの実習を行うことが可能です。
なお、介護職員初任者研修でも同様の時間を設けている「介護におけるコミュニケーション技術」に関しては、高齢者を不安にさせないため、生活援助従事者研修でも同様の時間を設けているのもポイントといえます。
大切な高齢者に対して不安や不快な思いをさせないように、積極的にコミュニケーションをとることが必要となります
そのため、講義だけではなく、演習を設ける可能性は高いといいます。
これらのカリキュラムをすべて終わらせてから、30分ほどでできる筆記試験を行うことで資格を取得することが出来ます。
筆記試験で適切な点数を取った人のみ、研修を修了したとみなされるため、学習を適切に行うことが必要となります。
生活援助従事者研修を修了したらできる仕事内容とは
生活援助従事者研修を修了するとできる仕事となるのが、訪問介護事業所での仕事です
入浴や食事・排せつなどの身体介護を行うことは不可能ですが、生活面でのサポートを可能で掃除や洗濯だけではなく、食事の準備や買い物代行といった部分となります。
基本的には生活面でのサポートとなり、洗濯・掃除・高齢者がいないときのベッドメイク・食事の調理や準備、後片付け・買い物代行、薬の受付といった簡単にできるものがメインです。
利用者が日常生活で難しくなってしまった作業を行うことが、最も重要といわれています。
単にできることをやるのではなく、高齢者の好みに応じた臨機応変な対応が重要となるため、事前に確認をしてから実施することが必要となります。
たとえば、洗濯物の干し方にこだわりのある人の場合、干し方についてもある程度相談しておくといいでしょう。
それ以外には掃除するときの好みや料理の味付けなどについても、配慮しておくことが必要です。
掃除するときに普段使うものを手の届きやすいところに配置しておくことや、利用者の身体的な問題を踏まえて好みの味の食事を提供できることが、スキルとして求められています。
生活援助従事者研修でできそうで出来ない介護サポート
生活援助サービスに含まれないこととなるのは、利用者のペットの世話・庭の手入れ・家族の食事の支度などです。
勘違いする人も多いのですが、生活援助従事者はあくまでも高齢者の生活サポートを行うのが仕事となります。
同居している家族の家事を行うための技術ではありません。
また、ペットや草むしりなどは家族がいれば家族に依頼すること、家族が難しいなら専門の家事代行サービスが実施することであり、高齢者の生活援助サービスには含まれないと定められています。
そのため、依頼されても絶対に実施してはいけません。
ヘルパーとして雇用されるため、ヘルパーとしてできないことがあることを初回訪問時に必ず伝えることが、高齢者の尊厳だけでなく、勘違いした家族の誤解を解くきっかけとなります
まとめ
生活援助従事者研修は、高齢者が快適に暮らせるように、今まで高齢者ができなくて苦労していた生活部分だけをサポートしていきます。
介護関係の仕事をしたいけれど、いきなり介護職員初任者研修の資格を取ることは大変そうだと悩んでいる人でも、時間やチャンスを生かしていつからでも学習し、働くことができるのです。
なお、生活援助従事者研修を終了させると、一部の科目免除で介護職員初任者研修を受けることができます。
介護職員初任者研修に必要となる71時間の研修となるため、資格を効率よくとっておきたい人にも朗報といえますね。
ただし介護職員初任者研修を受講するときには、ある程度時間に余裕が必要となるため、職場などに許可を取っておくとストレートに話を進めやすです。
初めて介護関係の資格を取りたい人には最適となる資格であるため、まず生活面からサポートしたいと考えている人に最適です。