介護士 奉仕

介護福祉士 資格証

 

奉仕するために介護職をしているわけじゃないのに…」

「介護職はお手伝いさんじゃない!」

このように感じたことのある人は多いと思います。

私たち介護職は人間ですので、奉仕にも限界がありますよね。

そこで今回は、介護職が限界だと感じている奉仕について解説していきます。

それでは、本文にすすんでいきましょう。

 

介護職の奉仕は2種類ある

 

介護職 奉仕

 

奉仕とは、自分の利益や損害を一切考えることなく、社会や目上の人に尽力することです。

そして一般的に介護職は、奉仕する仕事といったイメージを持っている人が多いようです。

 

介護福祉士

実際に利用者やその家族、そして介護の仕事をしている介護士の中にも、介護職は奉仕をするのが仕事だと勘違いしている人が数多くいます

 

このように奉仕のイメージが強い介護職ですが、奉仕を我慢するのが当たり前になってしまい「もう我慢の限界だ…」と感じている人は多いのではないでしょうか。

 

そんな、介護職を悩ませている奉仕の種類は「利用者への奉仕」「介護施設への奉仕」の2つに分けることができます。

では具体的に、どのような奉仕が介護職を苦しめているのかをそれぞれみていきましょう。

 

 

 

介護職がおこなっている利用者への奉仕

 

奉仕 介護職

 

まずは、介護職が利用者からどのような奉仕を要求されているのかをご紹介します。

介護職がおこなっている、利用者への主な奉仕は次のとおりです。

・介護保険外サービスの要求

・お手伝いさんのような扱い

・ハラスメント

それぞれ解説していきます。

 

 

介護保険外サービスの強要

 

1つめは、介護保険外のサービスを強要されることです。

 

介護職は、介護保険が適用される範囲内でのサービスを提供するのが仕事です。

ですから介護保険外のサービスを要求されたとしても、サービスを提供することはできません。

しかし、この介護保険外のサービスを強要してくる利用者や家族は意外に多いのが現実。

 

例えば、ホームヘルパーが同居する家族の援助をおこなうことは介護保険外のサービスになるのでできないのですが、「お金を払っているのだから」という理由で強要されるケースがあります。

 

介護福祉士

しかしここで勘違いしてはいけないのが、支払われている料金は利用者がサービスを受けるための料金であって、同居する家族がサービスを受けるための料金ではないということです

 

ですから、介護保険外のサービスを強要された場合は「できない」ということをしっかり伝えることが重要だといえます。

 

 

お手伝いさんのような扱い

 

介護職 お手伝いさん

 

2つめが、お手伝いさんのような扱いを受けることです。

 

利用者の中には介護職を「何でもしてくれるお手伝いさん」だと思っている方がいます。

 

例えば、身体的に不自由がなく自分で服を着替えことができるのに、何かと理由をつけて介護職に介助を求める利用者は多いです。

またひどいケースだと、正当な理由で要求を断ったとしても「不当な扱いを受けた」などと苦情を入れる利用者まで存在します。

ここまでのことをされると、介護職も我慢の限界を超えてしまっても仕方ありませんよね。

 

介護福祉士

介護職の本来の目的は、利用者の自立を支援することです。

決してお手伝いさんではないので、無茶な要求を受け入れる必要はありません

 

 

ハラスメント

 

3つめの奉仕がハラスメントがです。

 

少し奉仕とは意味合いがズレているように感じるかもしれませんが、実はそうでもありません。

介護職は利用者からハラスメントを受けることが多く、まじめな人ほど「自分に原因があるのかも…」と考えてしまい、我慢している傾向があります。

 

ハラスメントの内容は大きく分けて「身体的暴力」「精神的暴力」「セクシャルハラスメント 」の3つに分類することができます。

 

身体的暴力とは、叩かれたり物を投げつけられるなどの暴力行為をいいます。

厚生労働省の調査によると、身体的暴力は介護老人福祉施設などの入所施設で発生する割合が多く、ハラスメントを受けたことのある介護職の約90%が、身体的暴力を受けたことがあるという調査結果が出ています。

 

次に精神的暴力とは、大声で怒鳴られたり不当な謝罪をさせられるなどによるハラスメントです。

精神的暴力は、訪問介護のサービス提供時に発生する割合がもっとも高いようです。

 

介護福祉士

実際に私のまわりでも、気に入っているホームヘルパー以外が訪問すると高圧的な態度をとったり、介護保険が適用されないサービスを強要する利用者がいるといった話を耳にすることがあります

 

そして3つめのセクシャルハラスメントとは、性的なハラスメントのことをいいます。

セクシャルハラスメントは先ほどの身体的暴力や精神的暴力に比べて発生する割合は少ない傾向です。

ほかのハラスメントよりも発生する割合が少ないのは、加齢による性的な興味や欲求が薄れているのが理由かと思われます。

 

とはいえ、卑猥な言動をとったり必要もなく体を触られるという行為は悪質なので、介護職がセクシャルハラスメントを受けた際の苦痛は非常に大きいといえます。

 

利用者・家族等からのハラスメントの実態

1) 1年間の施設・事業所における利用者・家族等からのハラスメントの発生の把握状況

この 1 年間(平成 30 年 1 月~12 月)に、利用者・家族等からのハラスメントの発生状況については、「ハラスメントの発生を把握している」は、訪問リハビリテーションの 25.4%が最も低く、訪問看護の 55.7%が最も高かった。

一方で、「ハラスメントの有無を把握できていない」は1割程度であった。

厚生労働省 平成30年「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究報告書」資料40より

 

 

 

介護職がおこなっている職場への奉仕

 

職場 奉仕

 

介護職は利用者に対してだけではなく、職場に対しても奉仕をおこなうことがあります。

介護の職場は人材が不足している事業所が多く、勤務時間内に業務が終わらない場合は業務時間外に仕事をしなければいけません。

 

介護福祉士

例えば勤務時間外に介護記録の入力をおこなう、終業後の会議への出席を強制されるといった、サービス残業をおこなうのが慣習化している事業所もあります

 

また介護職はほかの職業と比べると仕事に対する労力のわりに収入が低く、給料が上がりづらいといった特徴があります。

大変な思いをして頑張っているのに収入も少なく、年に数回の昇給でも雀の涙ほどしか給料が上がらず「もう我慢の限界だ!」と、退職する人も少なくありません。

 

このように介護職は利用者だけではなく、勤務している事業所に対しても奉仕で仕事をさせられる場合があるのです。

 

 

 

介護職は奉仕を続けていかなければいけないのか?

 

介護職 奉仕をする

 

基本的に介護職は奉仕をする必要はありませんが、現場的にはいろいろな問題もあって思うようにはいかないことがあります。

しかし、介護保険が適用されていた「介護保険サービス」と、介護保険が適用されない「介護保険外サービス」が両方できる混合介護について今注目されています。

まだまだ、これからの介護方法で色々と問題はありますが、私たち介護職や利用者にとっても大きなメリットになると考えています。

 

 

 

まとめ

 

介護職は感情労働といわれることがあるように、自分の感情をコントロールしながら働かなければいけない大変な職業でもあります。

そして介護職も生身の人間ですので、利害を一切考えずに奉仕ばかりするのには限界があります。

しかし介護の仕事は、人生の大先輩である高齢者の生活を支えることができる、魅力的でとてもやりがいのある仕事です。

そんな素敵な介護の仕事を長く続けていくためにも、今おこなっている奉仕が当たり前だと思わずに、自分の力で改善していく努力が必要なのかもしれませんね。