あなたは、介護福祉士がいつから医療的ケアを行えるか知っていますか?
また、介護福祉士が行うことができる医療的ケアの内容についてご存知ですか?
今回は介護福祉士がいつから医療的ケアを行えるのかについてと、介護士福祉士が行える医療的ケアの内容を解説していきます。
また記事の後半では、介護福祉士が医療的ケアを行うメリットについて解説しています。
本記事を読み終えると、介護福祉士が行える医療的ケアについて理解できると同時に、医療的ケアを行うことで得られるメリットを理解することができます。
それでは、本文に進んでいきましょう。
介護福祉士の医療的ケアは、いつからできる?の前に・・
いつから介護福祉士は医療的ケアができるのかお話しする前に知ってほしいことがあります
それは、介護福祉士や介護職員が無許可で医療行為を行うことは、違法行為にあたるので絶対に行ってはいけません
過去には老人ホームなどで、医療行為を無許可で行なっていたために書類送検されたといった事例が多くあります。
医療行為というのは、利用者の病状の状態によって専門的な管理が必要とされる行為なので、一歩間違うと利用者の命に関わることもあります。
なので医師や看護師といった、専門的な知識がある職業にしか行うことができないと法律によって定められています。
しかし近年では高齢化が進み、医療的ケアを必要とする方が増加したことにより、一部の医療行為は介護福祉士や介護職でも医療的ケアとして行うことができる制度ができています。
介護福祉士や介護職員が医療的ケアを行うのには、様々な条件があります。
介護福祉士が医療的ケアを行うのには?
介護福祉士や介護職員が医療的ケアを行うのには、喀痰吸引等研修を受講する必要があります。
喀痰吸引等研修の詳細については、次の画像を見てください。
参考 厚生労働省「喀痰吸引等研修〜研修課程(1)〜」資料1より
介護福祉士や介護職員が行う医療的ケアの内容により、基本研修や実地研修の内容が異なります。
また実務者研修を修了して介護福祉士資格を取得した方は、実地研修を修了するだけで医療的ケアを行うことができるようになります。
というのも、実務者研修の研修内容の一部で医療的ケア(喀痰吸引)について学んでいるため、喀痰吸引等研修の基本研修が免除されるということです。
ここでひとつ注意点として、平成28年度以前に介護福祉士を取得された方やその他の介護職の方に関しては、喀痰吸引等研修の基本研修と実地研修を終了する必要がありますので、十分に注意してください。
喀痰吸引等研修を修了しても医療的ケアができない?!
喀痰吸引等研修を修了したからといって、すぐに医療的ケアを行えるかというとそうではありません。
研修修了証明書が発行された後に、都道府県に対して認定特定行為業務従業者の申請を行い、認定特定行為業務従業者認定証が発行されれば喀痰吸引等の医療的ケアを行うことが可能になるのですが、ここでさらに注意点があります。
それは、あなたが勤務している事業所が登録喀痰吸引等事業者でなければ、あなたが医療的ケアを行うことはできないということです。
なので、あなたが現在勤めている事業所が登録喀痰吸引等事業者であるかを、事前に確認しておくことが重要となります。
介護福祉士ができる医療的ケアとは?
介護福祉士と介護職員が行える医療的ケアには、痰の吸引と経管栄養の2つに分類されます
ここからは、痰の吸引と経管栄養について解説していきます。
痰の吸引の目的
痰の吸引は、自分の力で唾液や痰などを吐き出すことができない利用者に対して、口腔内や鼻腔内に溜まっている痰や唾液を、機械を使用して体外に出すことが主な目的です。
「痰や唾液くらい大丈夫なんじゃないの?」と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。
痰や唾液を吸引せずにそのままにしておくと、肺炎などの原因になることもありますし、最悪の場合は呼吸困難や窒息といった危険な状態になることもあります。
なので自力で痰や唾液を吐き出すことができない利用者にとって、痰の吸引はとても重要な医療的ケアといえるでしょう。
介護福祉士が行える痰の吸引は口腔内と鼻腔内、気管カニューレ内の吸引が認められており、それぞれ適切な手順で医療的ケアを行う必要があります。
ちなみに吸引を行う際に使用する吸引器は、専用の吸引器を使用して清潔かつ安全に行います。
経管栄養の目的と種類
経管栄養は、嚥下能力の低下などにより口から栄養を摂取できなくなった利用者に対して、栄養を胃や腸などへチューブを介して直接送り込み、しっかり栄養を摂取できるようにすることが主な目的です。
当たり前のことですが、人間は栄養を摂取しないと生命活動を継続することができなくなってしまいます。
また栄養状態が悪くなると、栄養素が不足している低栄養素といった状態になり皮膚の状態が悪化して床ずれの原因になることがあります。
また栄養素が不足すると、免疫力の低下から風邪になりやすくなってしまい、肺炎にかかるといったことが多くなってしまいます。
こういった理由から経管栄養も痰の吸引と同様に、利用者にとって重要な医療的ケアだといえるでしょう。
介護福祉士が行える経管栄養は胃ろうと腸ろう、経鼻経管栄養とされており、こちらも痰の吸引と同様にそれぞれを適切な手順で医療的ケアを行う必要があります。
喀痰吸引等研修を受講するメリット
介護福祉士や介護職員が喀痰吸引等研修を受講するメリットは以下のとおりです
1.介護士としての自信につながる
2.転職が有利になる
3.収入が増える
といったメリットがあります。
それぞれ解説していきます。
介護士としての自信につながる
介護士として自信を持って仕事ができるようになります。
なぜなら喀痰吸引等研修は、介護福祉士や介護職員が医療分野の専門的な知識を身につけることができ、安全に医療的ケアを行えるようになることが目的だからです。
なので研修の内容は医療分野の内容になっています。
ということは、受講することで自然と医療知識が身に付くということです。
日常の介護士としての業務のなかには、医療の知識があれば役に立つ場面も多くあります。
さらに積極的に医療の知識を学んでおくことで、介護福祉士として活躍できる領域が広がるのは間違いないはずです。
転職が有利になる
喀痰吸引等研修を修了することで、介護福祉士として行える業務の領域が広がるので、転職する際に有利になります。
なぜなら、喀痰吸引等研修を修了している介護福祉士というだけで、事業所の即戦力になることが期待できるからです。
少し考えてみてください。
あなたが人事担当者だった場合に、医療的ケアを行えない介護福祉士と、医療的ケアを行える介護福祉士を比較した際にどちらを採用するでしょうか?
よほどの理由がない限り、ほとんどの方が後者を採用しますよね。
つまり事業所側から見たときに、喀痰吸引等研修を修了している介護福祉士というのは、それほど市場価値が高いということになります。
また上記の例では、医療的ケアができない介護福祉士という比較対象がいましたが、仮に比較対象がいない場合はどうでしょうか?
この場合もほとんどの方が前向きに採用を検討する、もしくは即採用に至ると思います。
収入が増える
これは勤めている事業所によって異なりますが、多くの事業所は喀痰吸引等研修を修了している介護福祉士に対して手当を支給しています。
事業所にによって金額は様々といった状況ですが、大体は5,000円〜10,000円に落ち着いている場合が多いようです。
ほとんどが特別手当や資格手当、能力手当といった名目で支給されているようなので、気になる方は勤務している事業所に確認してもいいかもしれませんね。
まとめ
介護福祉士の医療的ケアはいつからできるか、また内容についてお話してきました
今後ますます高齢化が進んでいく現代において、痰の吸引や経管栄養といった医療的ケアを行える介護福祉士は、これからさらに必要とされるシーンが多くなっていくでしょう。
介護福祉士としてスキルアップを目指したい方や、少しでも収入を増やしたい方は喀痰吸引等研修を受講することをオススメします。
今後さらに、医療的ケアを行える介護福祉士の需要が高まることが予想されるこの機会に、喀痰吸引等研修を受講してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。