皆さんこんばんは、介護福祉士みきこです。
あなたが利用している、もしくはアナタの両親が利用している介護施設は大丈夫ですか?
これから高齢者が増えてくる、それとともに介護施設が増えているのは本当の話ですが、それと比例するかのように倒産している介護施設がある事をご存じでしょうか?
私は介護福祉士として働いています。
高齢者が増えてくる=(イコール)介護福祉士の需要は増えてきますが、それと同時に介護施設が増えるのか・・と言われるとそうではないのです。
設立別では、2015年以降設立の業歴5年未満が18件(構成比31.8%)と3割を超え、業歴の浅い事業者の倒産が目立った。
従業員数別では、5人未満が35件(前年同期比2.7%減、前年同期36件)で、全体の6割(構成比60.3%)を占め、小・零細企業が大半を占めている。
東京商工リサーチ 2020年上半期「老人福祉・介護事業」の倒産状況より
設立別でみた場合、5年以内が3割強で業歴の浅い事業者の倒産が目立つ状況です。
もしかしたら、アナタが利用している介護施設は、いつ倒産するか分からない状況になっているかもしれません。
今回は介護施設が倒産する前兆の見極め方を中心に解説していきます。
また、倒産してしまう前にやっておく対策も解説していきますので、是非チェックしてみてくださいね。
介護施設の倒産の前兆の見極め方
介護施設を選ぶのであれば、生涯において利用できる施設にしたいと考えますよね?
しかし営利目的で運営している施設は、倒産のリスクが皆無ではありません。
利用者がいてこそ成立する事業である以上、利用者が激減すれば倒産する可能性は大いにあります。
介護施設の倒産の前兆として挙げられるのは、空室が明らかに増えてきたケースです。
賃貸物件の場合と同様に、空室が増えると利益は減少します。
そのような状況でも建物のメンテナンス、修理などの維持費は発生するわけです。
職員が頻繁に辞めるようになった、利用者に対して職員が不足している、といった場合も要注意です。
当然ながら職員が減れば、十分なサービスの提供を受けられなくなります。
それにより利用者に不満が生じれば、利用者自身が他の介護施設に移ることを考えるかもしれません。
職員の退職が急増してきたら、倒産するリスクが低くはないと考えてください。
設備の修理や交換が行われなくなってきたときも倒産の前兆です。
シャワーが故障しているのに交換されていない、料理が以前より質素になった、などなど。
目に見てわかる変化が生じているときは要注意です。
介護施設側としてもサービスの質を低下させれば、利用者が減ることは認識しています。
それにも関わらずサービスの質を落とす必要性があるということは、運営が相当に厳しくなっていると考えられるでしょう
介護施設の倒産が増えている理由とは?
少子高齢化が進んでいる日本では、介護士不足が問題視されています。
介護施設の利用者に対して、介護士が不足している現実があるのです。
しかしそうした状況にも関わらず、介護施設の倒産が増えています。
その要因として大きいのが働き手不足であり、人員を確保できずに施設運営が困難な状態になっているわけです
会社は働いてくれる人がいて成り立つものであり、働き手が辞めていけば運営ができなくなります。
介護業界の成長に伴って、ライバルが増えているのも大きな要因です。
過熱している業界は競争も激化し、弱肉強食の世界に変化していきます。
強い介護施設、つまりは資金力に余裕のあるところが生き残れるわけです。
資金力が減少してしまうと、従業員に十分な給与やボーナス、福利厚生を提供できなくなります。
さらに利用者へのサービスの悪化、設備の交換・リフォームの資金不足などの問題を招きます。
日本は大手企業が倒産しにくい現実があり、それは介護施設にも共通することなのです。
介護施設の倒産の前兆には、施設側の過度の節約もあります。
マスクや消毒液、手袋などのコストは無視できません。
毎日使用するものであり、かつ頻繁に交換する必要があるからこそ、大きな出費につながるのです。
介護施設が節約を実施すると、利用者側はサービスの質の低下を実感することが多いです。
サービスの改悪が増えてきたと感じたら、介護施設の倒産の前兆かもしれません。
倒産しない介護施設とは?
倒産しない介護施設の特徴として、利用者の満足度が高いことが挙げられます
利用者から高評価を獲得している施設は、口コミで評判が伝わります。
口コミのパワーは強力で、地元を中心に評判が広まって新規利用者を増やすという好循環を生み出すのです。
そうして利用者が増えれば施設側が受け取る利益が増えるため、さらなる高品質のサービスを提供できます。
倒産しない介護施設は活気があり、職員が元気という特徴があります。
利益率が高い職場は安定した給料の支払いができるため、職員が効率的にキャリアアップできるわけです。
逆に待遇が劣悪な会社であれば、キャリアを構築する以前に転職を考える人が多いでしょう。
高額な給料とボーナスが支払われ、さらに福利厚生も完備されている職場は、職員のモチベーションが上がります。
職員が元気な介護施設というのは、活気があってポジティブな雰囲気が形成されています。
空室が少ない施設も倒産するリスクは低いでしょう。
空室が多いということは、利用者を十分に確保できていない状態です。
言うなれば利用者のニーズを満たすことができていません。
本当にコスパがよく満足度の高いサービスを提供していれば、口コミで利用者は増えていきます。
つまり空室が目立つ施設よりも、空室が少ない施設のほうが運営が安定しているわけです。
安定した運営ができているかどうかを予測すれば、施設の今後が見えてきます
倒産する前にやっておくべきこと
介護施設が倒産してしまうと、他の施設に移ることになるケースが多いです。
その際に多く寄せられるのが、倒産後は事業譲渡があるのか?という質問です。
事業譲渡があった場合は事業者が変わることになり、利用者は原則として同施設で介護サービスを受ける流れになります。
利用者は退去する必要がないので、他の介護施設を探す必要はありません
ただし事業者が変われば、良くも悪くもサービスの内容も変わるケースが多いです。
例えば食事の品目が減る、今まで利用していたサービスの料金が上がる、などなど。
引き継がれなかった場合は、新しい介護施設を探すことになります。
すぐに見つかるという保証はなく、ここは運まかせになるでしょう。
ただ介護施設の中には、利用者に新しい施設の紹介、入居のサポートをしてくれるところがあります。
こうしたサポートがあれば利用者の負担は軽減されますが、多くはゼロから新しい施設を探すことになるのが現実です。
入居一時金に関しては、現在は保全される法律に変わっています。
ただし2006年4月以前に運営開始された介護施設においては、入居一時金の保全措置の適用にならないケースがあります
こうしたリスクに備えるためには、施設の入居時に入居一時金の保全措置について確認しておくのが得策です。
倒産するリスクがゼロではない以上、それに備えてリスク回避の対策をしておく必要があるでしょう。
まとめ
運営が安定している介護施設を利用するのがベストですが、入居後に運営が不安定になって倒産するという事例があります。
こうしたリスクを回避するには、介護施設の倒産の前兆を見逃さないことが重要です。
職員が減っていく、サービスが悪くなる、設備が古いままになっている、などはよくある倒産のサインです。
介護士の需要が拡大している一方で、介護業界は弱肉強食の側面があります。
資金力のある施設は強いのに対して、資金力に余裕がない施設は運営が不安定になりがちです。
介護サービスの質が落ちてきたと感じたら、倒産の前兆かもしれません。
こうしたリスクに備えるためには、倒産しにくい特徴を持った介護施設に入居することがポイントです。
また事業譲渡や引き継ぎ、入居一時金の保全措置などに関して入居前に必ず調べておきましょう。