「介護士がキャリアアップできる資格といえば?」
この質問に対して「ケアマネージャー」と答える人は多いと思います。
しかし
「ケアマネージャーとは?」
上記の質問に対して明確に答えられる人は、意外と少ないのではないでしょうか。
今回は知っているようで意外と知らない、ケアマネージャーについてわかりやすく解説します。
それでは、本文に進んでいきましょう。
ケアマネージャーとは、わかりやすく解説
ケアマネージャーとは一般的に「ケアマネ」と呼ばれている職業ですが、実は「介護支援専門員」という正式名称があります。
ケアマネージャーとはわかりやすく説明すると「介護が必要な高齢者が、その人らしく充実した人生を過ごせるように高齢者にわかりやすく介護保険の説明をして、介護サービス利用の手配や調整をおこなう職業」です。
ケアマネージャーとは、いわば「介護保険のスペシャリスト」だといえるでしょう
とはいえ、ケアマネージャーの仕事は相談業務や介護サービスの利用調整、施設へ入所する際の支援など多方面にわたり、単純に介護保険に詳しければ良いという職業でありません。
そんな幅広い業務をカバーする必要があるケアマネージャーですが、実際にどのような内容の仕事をしているのか気になりますよね。
ここからは、ケアマネージャーの主な仕事内容をみていきましょう。
ケアマネージャーの仕事内容は?
ケアマネージャーの主な仕事は次のとおりです。
・相談業務
・ケアプランの作成
・介護サービスの利用調整
・そのほかの業務
順番にわかりやすく解説します。
相談業務
高齢者や家族から介護についての相談、問い合わせを受けることがケアマネージャーの仕事の入り口です
相談を受けた際は、利用者本人または家族のもとへ訪問して面接や相談をおこないます。
この面接や相談を「インテーク」といいます。
インテークは利用者本人や家族が介護について悩んでいること、困っていることを把握することが重要です。
そしてそこから「何が問題なのか」をわかりやすく利用者本人または家族に伝え、問題を共有することが目的だといえます。
ケアプランの作成
ケアプランとは、利用者がどのような内容の介護サービスを利用するのかを、事前に計画したものです
ケアプランは本人がどのように生活したいのか、それを実現するための問題点と課題、具体的なサービス内容などを利用者でもわかりやすいように作成していきます。
そして、このケアプランを作成する際に重要になるのが「アセスメント」です。
アセスメントではインテークで得た問題点をもとに、利用者が現在抱えている課題を抽出します。
アセスメントは利用者の身体状況や精神状況などの「個人因子」、自宅環境や金銭的な問題の有無などの「環境因子」を考慮しておこないます。
さらに主に介護は誰がおこなっていて、家族が介護に協力的であるかといった家族の状況などの情報も含めて、総合的な視点でアセスメントをおこなう必要があるといえるでしょう。
このアセスメントの情報をもとに、利用者に応じたケアプランを作成します。
介護サービスの利用調整
作成したケアプランの内容は、利用者本人または家族に説明し同意を得る必要があります
ケアプランの内容に同意を得ることができれば、ケアマネージャーが介護サービス事業所と連絡を取り利用調整をおこないます。
そして、利用する介護サービスが決定すれば「サービス担当者会議」を開催します。
このサービス担当者介護の主な出席者は次のとおりです。
・利用者本人
・家族
・ケアマネージャー
・サービス提供事業所(主に介護事業所の生活相談員など)
上記以外にも福祉用具をレンタルする場合は「福祉用具専門相談員」、訪問リハビリを利用する場合は「理学療法士」などのリハビリ専門職が出席することもあります。
サービス担当者会議を開催する目的は「利用者本人に関わる全ての人が、共通の認識を共有すること」です。
具体的には
・利用者本人や家族の希望
・利用者本人の現在の身体的・精神的状況
・各介護サービスが提供するサービスの内容(利用頻度、利用時間など)
・介護サービスを利用するにあたって確認事項・注意点
上記が主に共有する事項です。
このようにケアマネージャーは、利用者と介護サービスを提供する事業所をマッチングする役割があるのです。
いわばケアマネージャーとは、利用者と介護事業所を繋ぐ「仲介者」のような存在だといえるでしょう。
その他にも業務はあります
ケアマネージャーの仕事はここまで解説したこと以外にもあります。
主なそのほかの仕事は次のとおりです。
・給付管理
・介護サービスの利用調整
・介護保険の変更や更新の申請
・入退院時の支援
・施設への入所支援
上記が、主なそのほかの業務です。
業務とは少し意味合いが違うのですが、ケアマネージャーは研修が多い職業でもあります
例えばケアマネージャーになるための試験「介護士支援専門員実務研修受講試験」に合格したあとには、87時間の実務研修をうける必要がありますし、ケアマネージャーになったあとも定期的に資格の更新研修をうける必要があります。
このように、ケアマネージャーとは実務以外にも研修が多い職業だといえるでしょう。
ケアマネージャーになるには?
ケアマネージャーになるには、まず介護支援専門員実務研修試験に合格する必要があります。
介護支援専門員実務研修試験の受験資格は次のとおりです。
1.該当する国家資格(介護福祉士など)を保有していて、5年以上かつ900日以上の実務経験
2.生活相談員、相談支援員などとして5年以上かつ900日以上の実務経験
上記の1か2の条件を満たしている人だけが、介護支援専門員実務研修試験を受験することができます。
そして介護士支援専門員実務研修受講試験に合格すれば、ケアマネージャーになるための実務研修をうけることができます。
実務研修の内容は15時間の講習と、3日間の実務で構成されています。
そしてこの実務研修を修了すれば、ケアマネージャー(介護支援専門員)資格の取得となります。
ここで余談なのですが、私はケアマネージャーと一緒にお仕事をする機会が多いので、利用者の話題の合間に雑談をすることが多いです。
そして、そのほとんどのケアマネージャが口をそろえて「試験に合格するよりも、実務研修が1番キツい」と言われています。
それほどケアマネージャーになるには、高い専門性が求められるということなのでしょう。
介護支援専門員資格を国家資格と思っている人がいますが、正しくは国家資格と民間資格の中間に位置づけられている公的資格なので間違えないようにしましょう
ケアマネージャーの給料はどのくらい?
ここからはケアマネージャーの給料について解説していきます。
平成27年度に介護労働安定センターの介護労働実態調査の結果によると、ケアマネージャーのひと月あたりの平均賃金は250,499円となっており、介護職員のひと月あたりの平均賃金は198,675円とのことです。
参考 介護労働安定センター 平成27年度 介護労働実態調査結果について 資料11
さらに厚生労働省が平成27年度に実施した賃金構造基本統計調査では、日本国内全産業の平均賃金は304,000円となっています。
1 一般労働者の賃金
(1) 賃金の推移
賃金は、男女計304.0千円(年齢42.3歳、勤続12.1年)、男性335.1千円(年齢43.1歳、勤続13.5年)、女性242.0千円(年齢40.7歳、勤続9.4年)となっており、前年と比べると、男女計では1.5%、男性では1.7%、女性では1.7%それぞれ増加し、女性の賃金は過去最高となっている。厚生労働省 平成27年度 賃金構造基本統計調査 資料1より
このことから、ケアマネージャーの賃金は介護職員よりも高水準ですが、全産業平均よりも水準が少し低い位置付けの給与体系だということがわかります
まとめ
今回は、ケアマネージャーの仕事についてわかりやすく解説しました。
ケアマネージャーとは、介護が必要な高齢者と介護サービス事業所を繋ぐ「介護保険のスペシャリスト」です。
高齢者がその人らしく充実した人生を過ごせるように、幅広い支援をおこなうとてもやりがいのある職業だといえます。
またケアマネージャーは介護士よりも給与面の待遇が良いことから、キャリアアップを目指す介護士にとって目標にしやすい職業だともいえるでしょう。