訪問介護とは利用者の家に行き、サービスを行う仕事です。
訪問介護には、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院・外出介助」の3つの業務があり、超高齢化社会の現在、高齢者が在宅で生活を続ける上で訪問介護はとても重要なサービスです。
そんな訪問介護は、介護業界の中では働く人の平均年齢が高く、若いヘルパーが少ないのが特徴です。
訪問介護は若い人が働きにくい環境なのでしょうか。
本記事では、訪問介護は若いヘルパーには無理なのかについて、若いヘルパーの不利な点と有利な点から解説していきます。
是非、最後までご覧ください。
若い訪問ヘルパーというだけで差別される?
令和2年度の「介護労働実態調査」によると、訪問ヘルパーの平均年齢はなんと50.9歳です
平均年齢は介護支援専門員が 52.1 歳で最も高く、
次いで訪問介護員が 50.9 歳、サ-ビス提供責任者が 49.3 歳、
看護職員が 48.2 歳となっている
訪問ヘルパーは年齢層が高い仕事ということがわかりますね。
そのため、年齢層が高い訪問ヘルパーの中に若い訪問ヘルパーがいると、良い意味でも悪い意味でも「目立ちやすい」のです。
実際に訪問介護の現場において、若いヘルパーは差別されてしまう場合があります。
その理由として以下の3点があげられます。
・生活経験が少ない若いヘルパーと生活経験が豊富な利用者間のギャップ
・その場で臨機応変に対応できない
・ヘルパーの見た目による安心感の違い
それぞれ詳しく解説していきます。
生活経験が少ない若いヘルパーと生活経験が豊富な利用者間のギャップ
例えば、20歳の訪問ヘルパーと80歳の利用者だと生活経験の差は60年です。
60年の差はかなり大きいですよね。
そうなると生活援助の際、生活経験の差が家事に顕著に表れてしまうでしょう。
若いヘルパーの家事のやり方に利用者は「なんでそんなやり方なの?」と思ってしまい、「若いヘルパーは仕事ができない」という印象を持たれてしまう可能性があります。
その場で臨機応変に対応できない
訪問介護は基本的に一人で利用者の家に行き、サービスを提供する仕事です。
そのため、自分で判断して対応しなければならない時が多々あります。
例えば調理援助の際、利用者の家の冷蔵庫にある食材で料理を作るとなった場合、料理経験の少ない若いヘルパーと、主婦歴の長いヘルパーでは対応力があるのはどちらでしょう。
やはり、主婦歴の長いヘルパーの方が柔軟に対応できると考えられますね。
今の時代、スマホで調べれば料理のレシピはたくさん出てきます。
しかし、訪問介護は決まった時間内でサービスを終わらせなければなりません。
そうなると手間取ってしまう若手のヘルパーよりも、主婦歴の長いヘルパーの方が柔軟な対応力があり重宝されやすいでしょう。
ヘルパーの見た目による安心感の違い
若いヘルパーは見た目で判断されてしまうこともあります。
利用者や利用者家族からすると、「若いのにこの人一人に任せて大丈夫かしら…」と不安になることがあるようです。
特に、生活援助サービスではある程度年齢のいったヘルパーの方が、見た目からして安心感を与えやすいということがあります。
実際に私が若いころ、訪問ヘルパーとして働いていた時のことです。
年配のヘルパーから業務の引継ぎを行うため、利用者の家に同行して行きました。
すると同行先の利用者に、「あなた若いし、〇〇さんと比べると正直心配ね」と言われたことがあります。
若いヘルパーは利用者や家族に与える最初の印象が不利と言えます
しかし、見た目はどうすることもできません。
若いヘルパーは日々のサービスを誠実に行い、利用者や家族の信頼を地道に獲得していくことが得に重要です。
訪問介護は若いヘルパーだからという理由は当てはまらない!
ただでさえ人員が不足している訪問介護の現場において、若いヘルパーだからという理由で業務が免除されるようなことはありません。
上記にあげたように、若いヘルパーは家事援助、特に調理援助が苦手なことが多いです。
調理が苦手だから調理援助のサービスに入らないのではなく、積極的に学んでいく必要があります。
料理の基本の味付けを事前に調べてメモしておき、実際のサービスの際にすぐに確認できるようにするといった工夫をしましょう。
若いヘルパーはベテランヘルパーよりも伸びしろがあります
積極的に学び努力することで苦手を克服していくことが大切です。
もし、どうしても調理援助のサービスに入りたくないという場合は、面接時によく話し合う必要があります。
若いからこそできる訪問介護
これまで、若いヘルパーが訪問介護で直面する難しい部分をご紹介してきました。
しかし、若いからこそ訪問介護が務まる部分もあります。
その理由として以下の3点があげられます。
・体力があり件数がこなせる
・利用者とのコミュニケーションのきっかけになる
・新しく覚えることに抵抗がない
これらを詳しく解説していきます。
体力があり件数がこなせる
訪問介護は一人で何件もこなしていくため、体力が必要です。
一件サービスが終了すると、利用者宅から利用者宅へと移動しなくてはなりません。
それを一日に何件も繰り返します。
特に首都圏では自転車移動が基本です。
何件も移動しサービスを提供する訪問介護は、かなり体力勝負の部分があります。
そうなると、体力があり件数をこなせる若い訪問ヘルパーは、訪問介護においてとても有利といえるでしょう
利用者とのコミュニケーションのきっかけとなる
私が実際に体験したように、残念ながら若いヘルパーというだけで差別されてしまうこともあります。
しかし、平均年齢が高い訪問ヘルパーだからこそ、若い訪問ヘルパーは存在にインパクトがあります。
そのため、利用者に覚えてもらいやすく、コミュニケーションがとりやすくなる場合もあるのです。
以前、私がサービスを担当したちょっと気難しい利用者から「若いあなたが頑張っている姿はとても励みになるわね」とお声がけいただいたことがあります。
孫と同じくらいの年代の若いヘルパーが頑張っている姿は、利用者にとって励みになることもあるようです。
その後も、何かと気に留めてくださり、円滑にコミュニケーションをとることができました。
その利用者に一度、なぜ気に留めてくださるのか聞いてみたことがあります。
その理由は、「他の年配ヘルパーだと息子の嫁みたいで嫌なのよね」とのことでした…
色んな利用者がいますが、若さを不利と思わずに積極的に利用者とコミュニケーションをとっていけると良いですね。
新しく覚えることに抵抗がない
訪問介護で身体介護を行う場合、施設のように設備が整っていない利用者宅で身体介護を行うことがあります。
例えば施設で勤務経験のある若いヘルパーの場合、最初は戸惑う部分はあっても、「それはそれ、これはこれ」と割り切って介助を行いやすいのです。
生活援助の場合も、利用者が長年やってきたやり方をお願いされても抵抗なく受け入れやすく、利用者が満足するサービスを提供しやすいでしょう。
年配のヘルパーは自分の今までの経験に固執しやすい傾向にあります。
利用者本位ではなく自分本位の方法でサービスを提供してしまうことも考えられます。
若いヘルパーは生活経験が浅く、臨機応変に対応することが難しい部分もあるでしょう。
しかし失敗してもそこから多くを学び、逆に利用者の望むサービスを提供しやすいという利点があるのです
まとめ
今回は、訪問介護は若いヘルパーには無理なのかについて、若いヘルパーの不利な点と有利な点から解説してきました。
訪問介護において、若いヘルパーは不利になる点があります。
しかし、それ以上に若さを生かせる仕事でもあるのです。
利用者としっかりと向き合い、誠実に日々のサービスを提供することが大切です。
そうすることによって、利用者にも「若いのにしっかりしている」と好感を持たれるでしょう。
訪問介護は一対一でサービスを提供するため、とても大変な仕事です。
しかし、利用者の生活を直接支えている素晴らしい仕事でもあります。
訪問介護を始めようか悩んでいる若いヘルパー志望の方は、ぜひ訪問介護にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。