介護福祉士試験で1番気になることといえば、何といっても合格率ではないでしょうか。
近年、介護福祉士の合格率・受験者数の推移に変化があり、事前に傾向の変化を掴んでおくとスムーズに受験に挑戦することができます。
今記事では、介護福祉士の合格率から受験者数の推移、将来の介護福祉士の需要について紹介します。
介護福祉士の合格率は年々どおなっている?
介護福祉士試験は総得点の60%程度を基準とし、課題の難易度で補正した点数以上の得点者を合格者と定めています。
また、試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者となっております
[1] 人間の尊厳と自立、介護の基本
[2] 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
[3] 社会の理解
[4] 生活支援技術
[5] 介護過程
[6] 発達と老化の理解
[7] 認知症の理解
[8] 障害の理解
[9] こころとからだのしくみ
[10] 医療的ケア
[11] 総合問題
(注意) 配点は、1問1点の125点満点である。
※一方で、近年の合格率は70%ほどを推移しており、高い傾向が続いています。
合格率は高くなっている傾向
厚生労働省の発表によると、直近の試験第33回介護福祉士試験では84,483人が受験し、その中の59,975人が合格しました。
受験者数 84,483人
合格者数 59,975人
合格率 71.0%
合格率は71.0%と過去3番目に高い数字です。
第29回 (平成28年度)以降の合格率は70%ほどを推移しており、ここ数年の試験に大きな変化はなく推移しています。
勘違いしないで!合格者数が増えているわけではない!
注意したいのが、全体の合格者数が増えているわけでない点です
第28回 (平成27年度)は合格率が57.9%ながら88,300人が合格しているのに対し、直近の試験(令和2年度)合格者は59,975人と少ないことが分かります。
これは、受験資格のハードルが上がり全体の受験者数が減少しているのが原因の1つと考えられます。
つまり、毎年介護福祉士になる人数自体は増えていないという特徴がある点を押さえましょう。
介護福祉士試験の合格率と受験者数の推移
つづいて、介護福祉士試験の合格率と受験者数の推移を詳しくみていきましょう。
合格率と受験者数は逆比例している
上記は直近7年の介護福祉士国家試験の受験者数・合格者数・合格率をまとめたものです。
注目したいのが、第28回(平成27年度)と第29回(平成28年度)の変化です
受験者数が152,573人から76,323人と約半数ほど落ち込んだのに対し、合格者率は57.9%から72.1%と大幅に上がっています。
この年以降は、微妙な数字の変化はあるものの傾向に大きな変化はみられません。
直近5年は合格率70%をキープ
直近5年の合格率は70%前後を推移しているのが近年の特徴です。
第31回(平成30年度)に73%台と高い合格率を示していましたが、第32回(令和元年度)には70%を切りました。
しかし、第33回(令和2年度)には71%まで回復しており、合格者数も1,000人ほど増加しています。
介護福祉士の合格率は60%が基準となっているため、高い水準を維持していることがわかります
直近の受験者数は7万〜9万人を推移している
第29回(平成28年度)以降、受験者数は大きく減少しており、第28回(平成27年度)までは15万人ほどいた受験者が、翌年以降は7万〜9万人を推移しています。
原因は「実務経験ルート」の実務者研修修了の必須化です。
平成28年度以前の受験資格は、実務経験が3年(1,095日)以上、かつ従事日数が540日以上であることのみでした。
しかし、29回(平成28年度)以降からは「実務経験ルート」の受験要件に「最長で450時間の実務研修を修了していること」が加わり、受験するにあたってのハードルが上がり、全体の受験者数が減少しています。
受験資格のハードルを下げる対策も
受験者数の減少に伴い、受験資格を緩和する動きもみられます
実務者研修を必須にした年以降、受験者数の大幅な減少が続いており、改善する見通しも立っていない様子です。
そこで、「実務経験3年以上」という受験資格について、平成28年度からは受験年度末までに要件を満たす場合は受験可能となる「見込み受験」を認めています。
つまり、従事日数を試験実施年度の3月31日まで通算することができるようになり、受験申し込み時に実務経験を満たしていない場合でも、受験が可能になります。
1年でも早く介護福祉士を取得したいという方は見込み受験の制度を活用することをオススメします。
今後も介護福祉士の需要は高い見込み
介護の国家資格である介護福祉士の需要は今後も高いといえます
高齢化が急速に進んでいる日本において国から認められた国家資格である介護福祉士は多くの場面で活用することができます。
2025年までに55万人の介護福祉士が必要
厚生労働省の発表では、2025年には55万人の介護人材の確保が必要になるというデータが出されています。
第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について
今般、第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数が取りまとまりましたので、公表いたします。
○ 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護人材の需要を見ると、2020年度末には約216万人、2025年度末には約245万人が必要。
○ 2016年度の約190万人に加え、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護人材を確保する必要がある。
※ 介護人材数は、介護保険給付の対象となる介護サービス事業所、介護保険施設に従事する介護職員数に、介護予防・日常生活支援総合事業における従前の介護予防訪問介護等に相当するサービスに従事する介護職員数を加えたもの。
○ 国においては、➀介護職員の処遇改善、➁多様な人材の確保・育成、➂離職防止・定着促進・生産性向上、➃介護職の魅力向上、➄外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組む。
2025年後というと、すでに数年後に迫っており介護施設の職員の確保は高い需要が見込まれます。
その中でも介護福祉士の資格を所持しておけば、職員としての価値を高めることができ、転職も有利に運ぶことができるでしょう。
介護需要を見越し介護福祉士を目指そう
先ほども紹介したとおり「実務経験ルート」で介護福祉士試験を受験するには「介護職員実務者研修の修了」が必須となっています。
したがってすぐに受験できるわけでなく、早い段階から計画的に取得を目指す必要があります。
将来、介護福祉士に合格しキャリアアップを検討している方は、早い段階から動き出すとスムーズに取得を目指せそうです
まとめ
介護福祉士の合格率から受験者数の推移、将来の介護福祉士の需要について紹介しました。
近年は、制度の変化で受験者数が減った一方、合格率は高い数字を推移している特徴があります。
介護業界は担い手不足など、後回しにできない課題が多く、制度も年々変化しています。
介護福祉士の試験も変化しており、受験する側も柔軟に対応しながら合格を目指す必要があります。とくに「実務経験ルート」は実務者研修修了が必須要件となっておりすぐに受験資格を手に入らない点に注意しましょう。
介護福祉士の取得を検討しているか方、参考にしていただければ幸いです。