こんにちは、介護福祉士みきこです。
介護福祉士として現場にいると、「ショートステイ」と一口に言っても、本当に短期間の滞在なのか疑問に感じることが多々あります。
ショートステイは本来、介護を担う家族が一時的に負担を軽減するためや、利用者が自宅での生活を継続できるよう支援するための短期的な滞在施設ですが、大きな声では言えませんが、実態はそれとは大きくかけ離れています。
長期滞在が続く「ショートステイ利用者」が増えている現状について、現場からの視点で掘り下げていきます。
本来のショートステイの役割とは?
ショートステイは、要介護者が短期間だけ施設に宿泊するサービスで、介護負担が重くなった家族のための休息や、自宅での生活リズムを維持することが主な目的とされています。
基本的には「一時的な避難場所」であり、入所が目的ではないため、最長でも1ヶ月程度の滞在が通常の基準です。
しかし、近年ではその役割が大きく変わりつつあります。
実際のところ、介護者が休息を取るだけでなく、医療面や心理的なケアを受けながら生活を続けるためにショートステイが使われているケースが増えています。
この点に関しては一見便利で柔軟なサービスに思えるかもしれませんが、問題は「短期」であるはずの滞在が、実質的に「長期化」していることです。
こうした実態に対して、私たち現場の介護福祉士はしばしば矛盾を感じざるを得ません。
実際は長期化?「入所待ち」としてのショートステイ
介護施設の入所待ちが多い中、ショートステイが「入所待機のための場所」として使われていることも少なくありません。
ショートステイが、ある意味「一時しのぎの入所場所」として利用されているケースが増えているのです。
1ヶ月ほどショートステイで過ごし、一旦自宅に戻ったかと思えば、すぐにまたショートステイに戻ってくる。
その繰り返しで半年、さらには1年以上にわたる滞在となることもあります。
現場から見れば、これはもはや「入所」と何ら変わりありません。
また、長期滞在の許可を取るためには、利用者の状況や家庭の事情について「理由書」を作成しなければなりません。
しかし、この書類作成が手間であり、非常に時間がかかるのです。
業務が多忙な中で「また理由書を書かなきゃいけない」と思うと、どうしても手間がかかる作業が負担になります。
とはいえ、現状の制度上、それを避けることはできませんし、対応しなければならないのが現実です。
自宅復帰が難しい高齢者が増える背景
ショートステイの長期化が進んでいる原因のひとつには、高齢者の自宅復帰が難しいという現状があります。
高齢者の中には、自宅に戻ることが困難な方も少なくありません。
特に独居の方や、家族が遠方にいる場合、自宅での生活支援が難しく、事実上の「仮住まい」としてショートステイが選ばれてしまうのです。
自宅復帰が難しい状況にある方がショートステイを長期利用することは、介護福祉士として複雑な気持ちです。
利用者自身は、自宅に戻る意志がないケースも多く、かといって、本人や家族が入所に同意しているわけでもないため、ショートステイを繰り返すしか方法がありません。
利用者が「自宅に帰るのが難しい」と言いつつ、入所を希望しない場合、介護スタッフとしても悩ましい状況です。
ショートステイの「長期化」が招く現場の負担とジレンマ
ショートステイが長期化することで、現場の介護福祉士にとっても大きな負担となっています。
通常の入所者とは違い、ショートステイの利用者は頻繁に出入りがあるため、職員もそのたびに手続きや準備に追われます。
毎月のように利用者が入れ替わるのならばまだしも、長期にわたって滞在する利用者が多いと、スケジュール管理や書類の更新が必要であり、業務の煩雑さが増していきます。
さらに、長期滞在する利用者に対しては、日常生活の支援だけでなく、彼らの健康状態や心理面でのサポートも求められます。
利用者が一時的な宿泊ではなく「生活の場」としてショートステイを利用するようになると、食事やリハビリ、生活支援なども通常の入所者とほとんど変わらないレベルでのケアが必要となるのです。
その結果、「実質的に入所しているのと同じではないか?」と感じることも少なくありません。
長期ショートステイ利用者と他の利用者の優先順位
ショートステイには、日程が埋まってしまい本当に短期利用を希望している利用者が予約できないという問題もあります。
緊急でショートステイを利用しなければならない家族や、介護が一時的に必要な利用者が優先されるべきですが、長期滞在の利用者が多くを占めてしまうと、そのニーズに応えられなくなるのです。
職員としても、「他の利用者に不便をかけていないだろうか?」と葛藤が生まれます。
特に、介護者が病気や事故で一時的に介護ができなくなった場合など、急遽ショートステイが必要なケースがあります。
しかし、長期滞在利用者で定員が埋まっているために、そうした緊急のニーズに応えられない場合が出てきます。
介護施設としての役割を果たすためには、必要とするすべての方に適切なサービスを提供したいのが本音ですが、実際には限られたスペースやリソースの問題からそれが叶わないことに、歯がゆさを感じるばかりです。
書類対応の負担と、現場の愚痴
ショートステイ利用者が長期間滞在する際、施設側はその延長についての理由書を作成する義務があります。
この理由書作成が非常に手間がかかり、毎月更新が必要なケースもあり、職員の負担になっています。
正直なところ、「また理由書か…」と思わずにはいられません。
書類作成の時間が、直接的なケアや利用者とのコミュニケーションに使えれば、もっと充実した支援ができるのにと思うこともあります。
特に、利用者が増えると、一人ひとりの書類作成にかけられる時間が限られてきます。
書類の数が増えるたびに、日々の介護業務とのバランスを取るのがますます難しくなるのが現実です。
現場で働く介護福祉士としては、「どうしてここまで書類対応が多いのか?」と疑問を抱くことが少なくありません。
家族と利用者のニーズと、現場の苦悩
ショートステイを利用する家族や利用者の方々にとって、長期利用のニーズが出てくる背景には、それぞれの事情や理由があります。
家族がどうしても在宅介護を続けられない事情がある場合、または高齢者本人が自宅で生活することに不安を感じている場合など、事情は様々です。
例えば、ある家族からは「父が一人で自宅に戻るのは心配で仕方ないんです。だけど、長期入所にはまだ踏み切れません」という話をよく聞きます。
このように、家族としてはショートステイが生活の一部として欠かせない存在になっている場合が多いのです。
家族も「本当は入所が必要かもしれないけれど、まだ決断できない」という心情で利用を継続することがあり、私たちもその気持ちを理解しつつサポートにあたりますが、長期化が続くと対応に限界を感じることもあります。
施設側としても、利用者と家族のニーズには応えたいという気持ちが強いですが、限られたスペースの中での運営は難しいことも多いのが現実。
「どうして、もう少し制度が柔軟であればいいのに…」と、現場では感じることが多いです。
入所が難しいからこそショートステイが長期的に利用される一方、定員や職員の数が限られている中では、すべての家族や利用者の要望に応えるのが厳しい場面もあります。
ショートステイが長期利用になるデメリットとは?
長期利用が増えることによって、介護現場にはいくつかのデメリットが生じています。
その一つが、「緊急性の高い利用者への対応が困難になる」ことです。
ショートステイは本来、家族が急病になったり、急用ができた際の一時的な避難場所としての役割も担っています。
しかし、長期利用者が定員を占めてしまっている状況では、本来の役割を果たすことが難しくなるのです。
また、長期のショートステイ利用者が増えることで、職員の業務負担が増加します。
例えば、長期滞在する利用者に対しては、日常の生活支援だけでなく、健康状態の管理や家族との連絡・調整など、通常のショートステイよりも多くの手間がかかります。
こうした長期利用者に対するケアが必要な一方で、他の利用者にも同様に目を配らなければならないため、現場の負担が増すばかりです。
介護スタッフの一人として、何度も「もう少し効率よくできないものか?」と思ってしまいます。
まとめ
現場で働く私たち介護福祉士としては、日々の業務の中で感じる課題や思いがたくさんあります。
利用者やその家族のためにできる限りの支援を提供し、皆が安心して生活できる環境を整えたいと願っています。
しかし、現実の中では、制度上の問題によって理想が実現しにくいことが多々あります。
こうした現場の声や課題を社会に届け、改善を求めることが、私たちの役割の一つなのかもしれません。
「ショートステイ」という名の短期間の支援が、利用者や家族にとっても本当に「短期間の助け」として機能する社会であってほしいと願っています。