「介護福祉士になるにはどうすればいいんだろう?」
こんな風に考えていらっしゃる方はいませんか?
実は、介護福祉士になる方法はひとつではなく、いくつかのルートがあるをご存知でしたか?
記事の前半では、介護福祉士になるための4つのルートをそれぞれ解説します。
また記事の後半では、実際に介護福祉士として働いている私が考える介護福祉士になるメリット・デメリットや、介護福祉士にとって必要だと感じていることをまとめてみました。
それでは、本文に進んでいきましょう。
介護福祉士になるには
介護福祉士は介護職が取得できる資格のなかでは、国が認定している唯一の資格で俗にいう国家資格にあたります。
介護福祉士になるには、介護福祉士国家試験を受験するための条件を満たしたうえで、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
介護福祉士になるには4つのルートがあります。
・実務経験ルート
・養成施設ルート
・福祉系高等学校ルート
・経済連携協定(EPA)ルート
上記が介護福祉士を目指すための4つのルートです。
それでは、順番に解説していきます。
実務経験ルート
おそらくほとんどの介護士の方は、この実務経験ルートから介護福祉士を目指すことになるでしょう
ちなみに、私もこの実務経験ルートから介護福祉士になった1人です。
実務経験ルートで介護福祉士になる手順は以下のとおりです。
1.介護施設で3年以上の実務の経験を積む
2.介護職員実務者研修を修了する
3.介護福祉士国家試験に合格する
上記のとおり3年以上の実務経験が必要なので、どれだけ仕事ができる人でも介護福祉士になるには最低でも3年はかかります。
実務経験ルートは『働きながら介護福祉士を目指せる』のが大きな特徴です。
介護施設で経験を積みながら介護福祉士を目指すことになるので、何より実践的な技術が身につきます。
また実際に介護施設で働いているので、収入を得ながら資格取得を目指せるのも大きな魅力的ですよね。
養成施設ルート
養成施設ルートは、高校を卒業後に介護福祉士養成施設に入学して介護福祉士を目指します
養成施設ルートで介護福祉士になるには2パターンがあり、手順は以下のとおりです。
1.高校を卒業後、2年制以上の介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士国家試験に合格する。
2.社会福祉養成施設や保育士養成施設、福祉系大学を卒業した後に、1年制以上の介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士国家試験に合格する。
上記の2パターンに分かれています。
この介護福祉士養成施設では、介護福祉士に必要な知識や技術を専門的に学習することになります。
福祉系高等学校ルート
福祉系高等学校ルートでは、福祉系高等学校に入学して介護福祉士を目指すことになります
この福祉系高等学校ルートでは、以下の3パターンで介護福祉士を目指すことができます。
1.2009年度以降に福祉系高等学校に入学して新カリキュラムを修了して卒業
2.2008年度以前に福祉系高等学校に入学して旧カリキュラムを修了して卒業。この際に介護技術講習を受講すれば、実技試験は免除される。
3.2009年度以降に特例高等学校に入学して卒業。さらに9ヶ月(135日以上)の実務を経験した後に、介護福祉士国家試験を受験する。この際に介護技術講習を受講すれば、実技試験は免除される。
2009年度以降に福祉系高等学校に入学して、新カリキュラムを修了している方は実技試験が免除されます。
それ以外の場合でも、事前に介護技術講習を受講することで実技試験は免除されることになっているので、筆記試験に集中したい方は介護技術講習を受講しておくことをオススメします。
経済連携協定(EPA)ルート
この経済連携協定(EPA)ルートはフィリピン人やベトナム人、インドネシア人が日本国内にある受け入れ施設で、3年間以上の実務や研修を受けながら介護施設介護福祉士を目指すルートです
令和元年度の介護福祉士国家試験では、758名のEPA介護福祉士候補者が受験した結果、約45%の337名が合格しています。
参考元:厚生労働省【 第32回介護福祉士国家試験結果の内訳 】より
また、ベトナム人の合格率が圧倒的に高いのもわかってきますね。
介護福祉士になって気づいた必要なこと3選
実際に私は介護福祉士となって働いている中で、「これは必要!」と思うことがあります
私の中でこれは必要!と思ったことを紹介していきます。
学習意欲の高さ
『昔の常識は今の非常識』という言葉があるように、過去に学んだ介護の知識や技術は、年月を経て最新の情報に更新されていきます。
自分一人では立ち上がれない利用者をベッドから椅子へ移動させる「移乗介助」を例にしてみます。
私が介護士として働き出した時に教えられた移乗介助の方法は、自分の軸足の位置は座っている利用者の両足の間というのが基本的なスタイルでした。
しかし現在の移乗介助の主流はというと、自分の軸足の位置は利用者の両足の外側が基本です
このように日常的に行う介助動作ひとつをとっても、数年で基本的なスタイルも変化しているのです。
介護福祉士は介護分野における専門職。
介護の専門職としての自覚を持ち、最新の情報や技術にアンテナを張り巡らせ、常に正しい知識と技術をアップデートしていくことが必要だといえるでしょう。
介護の仕事の本質を理解する
介護士のなかには、「利用者のお世話をすることが介護の仕事」そういうものだと勘違いしている方がいますが、介護の仕事というのは、単純に利用者のお世話をすることが目的ではありません
介護の仕事の本質は、利用者の自立支援や生活の質を支えること。
何でもかんでもお手伝いしていては、利用者自身ができることもできなくなってしまいます。
その結果、利用者自身のできることが少なくなり、生活の質も低下していくという悪循環に陥ります。
介護福祉士は「利用者にとってより良い生活とは何なのか?」を考え、それを実現するお手伝いをすることが重要だと私は考えています。
観察力と推測力
観察力は介護士、介護福祉士ともに必要な能力ですよね。
ただし介護福祉士は観察して気づくだけではなく、気付いたことから推測する力も必要だと思います
例えば、利用者の歩き方がいつもと少し違うなと感じた時は、どこかで転倒して膝などを痛めている可能性があります。
この場合、利用者の歩き方の変化に気づかずにそのままにしておくと、痛みが強くなったり、最悪の場合は再び転倒して骨折してしまう危険性があると推測できるので、早めに病院を受診する必要があります。
このように介護福祉士は気づくだけではなく、どうなる可能性があるのかを考える力が必要不可欠だと思います。
介護福祉士のメリット
介護士ではなく、介護福祉士になるメリットは本当にたくさんあります。
ここでは介護福祉士のメリットをご紹介します。
給料が上がる
多くの介護事業所が介護福祉士に対して月額1万円~1万5,000円ほどの資格手当を支給しています。
一見すると少ない金額だと感じるかもしれませんが、1年間で考えると約12万円~18万円の収入になるので、なかなか無視することのできない金額だといえるでしょう。
日本のどこにいても通用する国家資格
介護福祉士は国が認定している資格なので、全国のどこにいても通用する資格だといえます。
実際に私も介護福祉士として働いていた地元を離れ、県外で介護福祉士として就職活動をした経験があります。
最終的に採用して頂いた事業所の面接担当者に、採用の決め手を尋ねたことがあるのですが、やはり介護福祉士資格を保有していたことが採用の決め手だったと言われました。
介護福祉士は全国のどこにいても通用する国家資格なので、取得するメリットは大きいと言えるでしょう
介護福祉士のデメリット
次に、介護福祉士のデメリットをご紹介します。
といっても、個人的には介護福祉士になるデメリットというのは、正直なところあまり感じていません。
ただひとつだけデメリットを挙げるとすれば「少し収入が低いかな…」と感じることはあります。
実際に、介護士の平均年収は、日本国内の全産業平均年収と比べて約100万円ほど低いのが現状です。
そして勤続10年を超えたあたりから、年収がなかなか上がりづらいといった傾向もあったりします。
実際に私が勤務している事業所でも、年収の低さから将来に不安を感じて退職していった介護福祉士が過去に数名いました。
この年収の低さを解決することができれば、介護福祉士はもっと人気のある職業になるんじゃないかなと感じています。
「この先、介護福祉士の給料って上がるのかな・・・」 「介護福祉士として今のままの給料だと、将来が不安だな・・・」 おそらく介護の仕事をしている方なら、誰もが一度は感じたことのある不安ではないでしょうか。 & …
まとめ
介護福祉士になるためには、いろいろなことが必要になってきますが、みなさんいかがでしたか?
今回は介護福祉になるには4つのルートがあること、介護福祉士のメリットとデメリット、私が介護福祉士にとって必要だと感じていることをまとめてみました。
介護福祉士になるには、介護福祉士国家試験に合格しなければならないので、実際は大変なことも多いです。
そして資格を取得したからゴールではなく、資格を取得してからが介護福祉士としてのスタートなので、本当の意味で介護福祉士になれるように日々頑張っていきましょう。