こんにちは、介護福祉士みきこです。
訪問介護業界が崩壊の危機に瀕しています。
2024年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことが業界に大きな衝撃を与えました。
私は介護福祉士として、この状況が現場にどのような影響を及ぼしているのかを実感しています。
そして、今後の訪問介護がどのように変化していくのかについて、多くの不安を感じています。
訪問介護の報酬引き下げが招く影響
2024年度の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬がマイナス改定となり、多くの事業所が経営難に陥っています。
この背景には、訪問介護の収支差率が他の介護サービスに比べて高いことが挙げられます。
介護事業経営実態調査によると、訪問介護の収支差率は+7.8%と、全サービス平均の+2.4%を上回っていました。
厚生労働省 令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要(案)より
このデータを根拠に、国は訪問介護の基本報酬を引き下げることを決定したようです。
しかし、この数字の背景には実態とかけ離れた部分があります。
収支差率が高い事業所もあれば、赤字ギリギリで経営している事業所も数多く存在しています。
実際、訪問介護事業所の経営は非常に不安定であり、報酬引き下げの影響を直撃しているのが現場のリアルな声です。
訪問介護の特性上、利用者の自宅に訪問するため、移動時間や交通費が大きなコストになります。
それにもかかわらず、介護報酬の単価が低いため、事業所にとっては大きな負担。
さらに、派遣会社を利用して人材を確保する場合、紹介料や手数料がかさみ、これも経営を圧迫する要因となっています。
訪問介護事業者が次々と倒産する理由
訪問介護事業者が次々と倒産している背景には、複数の要因が絡み合っています。
その中でも特に大きな問題として、次のような点が挙げられます。
基本報酬の引き下げによる経営難
訪問介護の報酬が引き下げられたことで、収益が減少し、事業を継続できなくなる事業者が増えています。
赤字経営が続けば、廃業を選ばざるを得ないのは当然の結果です。
人材不足と派遣会社への依存
介護業界全体の人材不足は深刻であり、訪問介護も例外ではありません。
事業所が人材を確保するために派遣会社を利用する場合、派遣料や紹介料が発生します。
一度採用した職員が短期間で辞めてしまうと、再び派遣料を支払う必要が生じ、経営負担がさらに増大します。
利用者減少と高齢者施設への移行
訪問介護を希望する利用者の数が減少していることも一因です。
介護が必要な高齢者が施設入所を選ぶケースが増え、訪問介護の需要が減っています。
特に都市部では、施設の選択肢が多いため、訪問介護が敬遠される傾向があります。
介護保険制度の問題
介護保険制度自体にも限界が来ています。
当初は公平性を重視して利用者負担が1割でしたが、現在では2割や3割に引き上げられるケースも増えており、利用者にとっても負担が大きくなっています。
また、事業所への報酬が減る一方で、サービスの質や量を維持するよう求められるため、現場は疲弊しています。
訪問介護が抱える現場のリアルな声
現場で働く私たち介護士にとって、この状況は非常に厳しいものです。
訪問介護はもともと移動時間が長く、効率の悪い働き方だと感じることも多々あります。
実際、移動中は業務時間に含まれない場合も多く、体力的にも精神的にも負担が大きいです。
利用者さんが増えればそれだけ移動時間も増え、1日に何件も訪問する中で休憩を取る余裕もありません。
さらに、介護報酬が下がったことで、訪問介護を提供する事業所自体が減少しています。
近所で利用できる事業所が閉鎖され、利用者さんがサービスを受けられなくなるといった問題も生じています。
訪問介護の未来と改善への提案
訪問介護がこのままでは崩壊するという懸念は現場でも感じています。
それでも、介護を必要とする人たちのために何とか改善を図らなければなりません。以下に、訪問介護を立て直すための提案を挙げます。
報酬改定の見直し
介護報酬を適切な水準に戻し、事業所の経営を支える仕組みが必要です。
訪問介護特有のコスト(移動費や交通費など)を考慮した報酬体系を導入すべきです。
人材育成と直接雇用の促進
派遣会社への依存を減らし、事業所が直接雇用で人材を確保できるような支援が求められます。
また、介護職の待遇改善を進め、若い世代が働きたいと思える環境を整えることが重要です。
地域包括ケアシステムの強化
地域で訪問介護を支える仕組みを構築し、利用者と事業者の負担を減らす努力が必要です。
行政や地域住民が連携して介護を支える仕組みを作ることで、持続可能な訪問介護を実現できます。
利用者への説明強化
訪問介護のメリットを利用者や家族にしっかり伝え、在宅介護を選ぶ人を増やす努力が必要です。
特に、高齢者が自宅で安心して暮らせるような支援が整えば、訪問介護の需要も安定するでしょう。
まとめ
訪問介護は、高齢者が自宅で安心して生活するための重要なサービスです。
しかし、介護報酬の引き下げや人材不足などの課題により、事業所の倒産が相次ぎ、業界全体が危機的な状況にあります。
このままでは訪問介護という選択肢自体が失われかねません。
介護福祉士として現場にいると、この問題の深刻さを肌で感じます。
それでも、私たちが利用者さんや家族の支えになれるよう、少しでも改善の方向に進めていきたいという思いを強く持っています。
訪問介護の未来を守るために、現場の声が政策に反映されることを切に願います。