介護記録は利用者さんに提供したサービスを知るとても重要な記録になります。
適当に書けば良いものではなく、誰にでも分かりやすいように簡潔に書かなければいけません。
そんな介護記録にも意外と知られていない禁止用語が存在します。
禁止用語を使用してしまうと上手く情報を共有することが出来なくなくなり、利用者さんのご家族の不信感にも繋がりかねません。
ここでは分かりやすく介護記録の禁止用語や注意点をご紹介していきます。
そもそも、なぜ介護記録が必要なのかご存じ?
介護記録は介護保険制度で「サービスの提供の記録」として義務づけられています。
そんな介護記録の主な目的は2つあります。
➀利用者により良いサービスを提供する
➁事故時に証拠になる
➀の「利用者により良いサービスを提供する」では、利用者さんの日々を記録することで、生活を見直せることや改善することができます。
また、介護記録は職員や家族などの情報共有として大事な役割を持っています。
➁の「事故時に証拠になる」ですが、介護記録は私たちが介護サービスを提供している証拠になります。
事故や訴訟が起きたときに介護記録が証拠になるため、介護サービスを正しく記録することで施設や自分を守ることができるのです。
介護記録は職員とのコミュニケーションを図る大切な絆でもあります。
家族から利用者さんの様子を聞かれたときにすぐ答えれるよう、常日頃から分かりやすく記録していく必要があります
介護記録には使ってはいけない禁止用語とは
介護記録には決して使っていけない禁止用語があります。
どの様なものがあるのか細かく説明していきます。
侮辱する表現
介護記録のなかでもっとも使用してはいけない禁止用語は、侮辱や差別をする表現や言葉です。
介護職は認知症の方との関りが多く、利用者さんの繰り返す言動にイライラしてしまうことや行動に疑問を感じてしまうことがあるかもしれません。
しかし「ボケている」「同じ言葉を何度も話している」「何回もトイレに行く」など侮辱するような表現は絶対に避けましょう。
認知症は脳の病気や障害で様々な認知機能が低下してしまうため、私たちが当たり前に行っている行動ができなくなってしまう病気です。
「何回もトイレに行った」という記録を残す場合は、何回というよりも具体的な回数を書くと良いでしょう
侮辱的、差別的な表現を記録として残さず、介護記録に合ったふさわしい表現をすることを心掛けてください。
徘徊、不穏などの表現
徘徊や不穏などの表現も介護記録に書くことは適切ではありません。
徘徊は意味や目的もなくウロウロすること。
不穏は穏やかでない、または落ち着きがなく興奮していることを言います。
私たち介護職は徘徊、不穏などの言葉で利用者さんの状態を把握しやすいかもしれませんが、記録として残すには良くない言葉です
良い例
徘徊→廊下を10往復していた。
不穏→落ち着きがなかった。
このように言葉を少し変えるだけで180°印象が変わります。
∼させたなどの命令や指示用語
私たち介護職が利用者さんに何かを行ってもらうように話しかけたことを「∼させた」「促した」「∼やってもらった」などと表現することも禁止用語です。
ここだけでみると何がいけないのか分からない人も多いでしょう。
上下関係を連想させてしまうような命令や指示用語は、利用者さんのご家族が介護記録を読んだときの不信感に繋がってしまいます。
記録に残すのならば「〇〇さんに∼と声かけをした」という表現が好ましいです。
私たちは利用者さんに何かをしてあげているような上の立場ではなく、常に利用者さんの目線に立ち寄り添う心で介助を行うことが大切です
介護記録も寄り添った言葉で書いみると良いでしょう。
専門用語
先ほどの紹介した徘徊や不穏なども専門用語になりますが、私たち介護職が日常的に使用しているちょっとした専門用語も避けたほうがいいでしょう。
具体例
・体交、体変→体位交換、体位変換
・座位→座っている
・開口→口を開いている
・誤嚥する→気管に食べ物が入ってしまった
具体例を挙げればこれ以外にも沢山ありますが、誰が見ても分かるような言葉で記録すれば問題ありません。
また介護だけではなく看護用語にも注意が必要です。
腋窩→脇
心窩→みぞおち
部位の用語も分かりやすくしておきましょう。
注意!勘違いしやすい禁止用語とは
介護記録の禁止用語のなかには自分が正しく書いたつもりでも間違っている用語があります。
それは医療に関した用語です
例えば、利用者さんがお腹の痛みを訴えてきたことを「〇〇さんが腹痛を訴えてきた」
と記録するのなら問題ありませんが、利用者さんの足に紫色の痣ができていたことを「〇〇さんの足が打撲していた」など記録するのは避けましょう。
私たちは医者ではないので足を打撲していたという診断をしていけません。
打撲と記録したことで、骨折してた可能性が見落とされてしまうこともあるからです。
高齢になるとちょっとしたことで傷や痣ができてしまうため、痣を打撲と思い込んでしまいがちですが、自分で判断するのは避けましょう。
介護記録には傷や痣の状態、色などの具体的な外見上の記録に残すと分かりやすいです
また、体調面で記録に残す際には看護師がいる場合は看護師に、いない場合は上司やスタッフに相談してみるのも良いでしょう。
禁止用語を使用しない正しい介護記録の書き方!
うっかり使用してしまいそうな禁止用語を、使わない正しい記録の書き方をポイントをおさえてご紹介していきます。
5w1Hが基本!
5W1Hを意識すると介護記録が書きやすくなります。
5W1Hとは
・いつ(when)
・どこで(where)
・だれが(who)
・なにを(what)
・なぜ(why)
・どうした(how)
この5W1Hは介護記録だけではなく、様々なビジネスやコミュニケーションにも使用でき、情報を分かりやすく伝えることができます。
事実をそのまま書く
自分の憶測や判断で介護記録を書いてはいけません。
良くない例 〇〇さんが不満げな顔をしている。
例をみると事実をそのまま書いてあるようにみえますが、本当に不満げかどうかは利用者さんにしか分かりません。
正しい書き方としては「〇〇さんが眉間にシワをよせていた。」など顔の表情を書くと分かりやすいです。
自分の憶測で書いてしまうのではなく、客観的に事実だけを書きましょう
時間や場所はメモをしておこう
介護記録において時間や場所の記録はとても大切です。
日々忙しく動いている介護現場では時間の流れがとても早く、時間や場所を記憶していくことは難しいでしょう。
記録しておきたいことがあれば、その場でメモをすると正確な情報を書けます
また、場所を記録する際は細かく記録してください。
「廊下で倒れていた」と記録した場合、廊下のどのあたりで倒れていたのかを明確にしましょう。
思いやりのある介護記録を
介護をしていると利用者さんの出来ないことに目がいきがちです。
介護記録にも「今日は〇〇が出来なかった」など書いてしまうことも多いでしょう。
そのようなことばかり記録していると、介護記録を読んだ家族が悲しくなってしまうのは当然のことです。
出来なかったことよりも出来たことを記録として残してあげると良い介護記録になるでしょう
まとめ
いかがだったでしょうか?
介護記録は毎日書くものなのでパターン化してしまう方も多いと思います。
しかし職員内や家族に情報を共有するためには、その日起こった出来事を記録しておくとが大切です。
介護記録の禁止用語は意識せずに書いてしまいがちですが、この記事を読んで参考にしてもらえると嬉しいです。