こんにちは、介護福祉士みきこです。
介護施設を訪れる人を見ていて思う事の一つは、遠方の親族ではなく近隣に住んでいる方が介護をしている状況が当たり前になってきている事。
しかし親の介護は「近くに住んでいるから見なければいけない・・」という一般的な考えではいけないという事を私は強く感じております。
もちろん遠方にいれば出来ないこともありますし、どうしても近くの方の負担が大きくなりがちです。
今回は親の介護は兄弟で見るもの?、遠方で見れない場合はどうしていけばいいのか?
解説していきますので是非チェックしてみてください。
親の介護は兄弟で!
親の介護は兄弟で見なければいけません。
それは「遠方だから」という言い訳も関係ありません!
結論から言うと、民法によって義務付けされている事を覚えておきましょう。
仲が悪いとか、普段関わっていないとか、遠方だからと言う理由で「介護できません」とはならないのです。
これは
・民法第877条第1項、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務
・民法第752条、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない
と、扶養義務があると日本では決められているのです。
多くの場合、兄弟の誰が親の面倒を見ていくのか・・。
そおいった問題にぶつかっていくのが一般的ではありますが、長男だから・近くに住んでいるから・遠方にいるから見れない、と言う風にならないのが正解なのです。
あなたがもし遠方に住んでいたとしても、あなたにも親の介護をしていく義務があるという事を覚えておきましょう。
「近くに兄弟がいるからまかせよう・・」「遠方にいるから無理・・」と言う考えは間違えています。
また兄弟だけではありません。
介護が必要な人に対して配偶者はもちろんの事、兄弟姉妹、子、孫、そして父母、祖父母も介護しなければいけない対象になるのです。
これはお互いに介護していく「義務」がある事を指します。
「誰が親の介護をしていくのか・・」兄弟間でもめる事が多く、かつては家長である長男長女もしくはその配偶者となっていましたが、現代ではこうした風習や文化は通用しません。
親の介護は兄弟で役割分担するのはもはや当たり前。
遺産相続でも基本的には兄弟で平等に分けるのが当たり前であり、介護だけは別ということは通用しないことを覚えておきましょう。
親が遠方に住んでいる場合は?
現代は非常に核家族化が進んでいます。
地方山間部で先祖代々家業の農家を引き継ぎ、両親や祖父母たちと三世帯同居ということはほとんど見られなくなりました。
地方山間部に住む若い人は、農業や林業、畜産業に漁業などに将来性を感じず、大学入学の時点で東京や大阪という首都圏に住みそこで就職を果たしてしまいます。
それゆえ現代ではほとんど両親と同居している人はいません。
兄弟でも兄は北海道で働き、妹は沖縄に嫁いだということも珍しくないのです。
ここでいざ、両親が古い屋敷で転倒し介護が必要になった、病気で寝たきりになった、痴呆症で見守りが必要になったといっても、すぐに飛んでいくことはできません。
こうした遠方に兄や弟が全員が住んでいる場合には、ほかの人に介護を依頼するしか致し方ないのです。
例えば有料老人ホームや介護支援型マンションに入居してもらうというのも一つです。
それでもこうした施設に入りたくないとかたくななことであれば、兄弟のいずれかが引きとるもしくは同居するしか方法はありません。
兄や弟のうちどちらか一方がまだ実家に住まいが近く、介護で通えるようであれば、その兄や弟に親の介護を依頼することが賢明です。
ただし、実際に介護にいけない遠方の兄弟は、資金的援助をすべてかぶるなどの配慮は私は必要だと考えています
親の介護における兄弟間のトラブル!
兄弟がすべて実家の近くに住み、兄や弟の間で介護分担をきちんとして円滑に回っているとトラブルや問題は起こりにくいかもしれません。
だが実際こうした円満な介護サイクルが出来上がることは、非常にまれであると私は考えています。
兄弟の何人かが遠方に住んでいた場合、近くに住んでいる兄弟に介護の負担がかかっているのが現状です。
もしくは近くに住んでいる兄弟が男性であり仕事をしている場合は、その配偶者である妻に負担がかかっている場合もあるのです。
そうなってくると不満がたまってしまいトラブルの原因になってくるのです。
そしてトラブルはこれだけにとどまりません。
介護とはお金がつきものであって、おむつや施設使用料、レンタルベッド代や食費などたくさんの費用がかさみます。
どうしても介護している方が先に負担せざるを得なくなり、後で兄にその分を折半しようといっても思うように支払いに応じてくれないケースも少なくありません。
最も最悪なのは、両親が亡くなってからの遺産相続争いです。
介護した方は、それだけ時間も労力も使っているために、遺産分割では自分が多くもらって当然だと思うようになります。
だが法律では両親の遺産は等分して分けることが基本ルールになっているために、そこに不満が募って爆発し相続争いに発展していくわけです。
親の介護における兄弟間のトラブルを少なくするためには、遠方だから・・という考えは辞め、介護義務のある方達で日頃から話し合いをしていく事が大切なのです
自分以外に親の介護が出来ない場合は?
親の老後は、かならず子供が面倒を見るものだという考え方や固定概念があります。
しかし、面倒や介護をしてあげたくてもどうしてもそれがかなわない事情が、子供にあるケースも珍しくありません。
例えば子供が働きに出ていて、日中ほとんど面倒が見れない、海外に赴任していて物理的に介護は無理ということもあるでしょう。
さらには子供自身が寝たきりであったり、入院していたり、障害を抱えているケースもありますよね。
このようにどうしても親の介護ができない場合には、民間や行政の助けを借りる方法もあるという事を覚えておきましょう
資金的に余裕があるのであれば、有料老人ホームや介護付き分譲マンションに入ってもらうという選択肢ができます。
介護レベルが要支援レベルであれば、まだ身の回りのことができるので訪問ヘルパーなどに日中お世話になるという方法もあります。
ただこれも、高齢者はだんだんと、体がいうことをきかなくなり要介護の寝たきりになる可能性も高いので、いつまで訪問ヘルパー任せにできるわけではありません。
やはり定年退職を迎えたころに、家族で話し合いの場を持っておき、老後子供が介護できない場合にはどうするかをしっかり話し合っておく必要があります。
有料老人ホームの入居を見越して、退職金には手を付けずに置いておくなどといった対策も必要になります。
まとめ
現代は核家族化が進み、両親と兄弟が同居している家庭はほとんどありません。
親が寝たきりや痴呆などになってしまうと遠方に住む兄弟間で、誰が面倒をみていくのか・・という問題が発生してきます。
親の介護は基本的に兄弟のみならず、子・孫・祖父・祖父母全員が分担してみなければいけないのです。
でも物理的に一方が遠方であると、近くに住んでいる方に負担が集中します。
そうした場合には、介護にかかる資金面ではすべて遠くに住む兄が負担するなど配慮が必要になるのです。
こうしたことはきちんと対面で話し合って決めることが大切であり、後になって遺産相続争いや訴訟問題に発展しないために非常に重要なことです。
もしどちらも物理的に介護できな時には、有料老人ホームやホームヘルパーなど施設を利用することで問題の解消につながっていくので検討していきましょう。