「特養での介護士の仕事ってどんな内容?」
「特養はキツいって聞いたけど、実際どうなの?」
今回は、このような疑問にお答えします。
知っているようで意外と知らない、特別養護老人ホームでの介護士の仕事内容をご紹介。
それでは本文に進んでいきましょう。
特別養護老人ホームの介護士の仕事内容は?
特別養護老人ホームとは、要介護3以上の認定を受けた高齢者が生活する入所施設で、「従来型」と「ユニット型」の2つのタイプに分類されています。
従来型は4人部屋、ユニット型は個室という大きな特徴の違いがありますが、厚生労働省がユニット型を推進している背景もあり、現在ではユニット型が主流になっています。
そんな特別養護老人ホームでの介護士の主な仕事内容は以下のとおりです。
・身体介護
・生活援助
・レクリエーション
順番に解説していきます。
特別養護老人ホームの身体介護とは?︎
身体介護とは主に排泄介助(オムツ交換など)や入浴介助(洗身介助、衣類の着脱介助)、そして食事介助などのことをいいます。
特別養護老人ホームで働く介護士が行うメインの仕事が、この身体介護だといえます
というのも特別養護老人ホームで生活している入居者は、他の施設と比較すると介護度が高く体が不自由な方が多いのため、必然的に介護士が身体介護を行う場面が多くなります。
どうしても身体介護は介護士の体力・身体的に負担が大きく、無理な体勢で実施したりすると腰痛などの原因になるので注意が必要です。
しかしこれは正しい知識・技術を身に付けることで予防することができるので、自分の身体を守るためにも介護技術研修などに参加して、積極的に介護士としてのスキルを高めていきましょう。
生活援助
特別養護老人ホームでの介護士の仕事は身体介護だけではありません。
入居者が快適に過ごせるように身の回りの整理や居室の掃除、リネン類の交換などの生活援助も介護士の仕事です。
入居者がどれだけ快適に過ごすことができるかは、この生活援助にかかっているといっても過言ではありません。
特にこのなかでも、居室の掃除やリネン類の交換を行うタイミングには注意が必要だといえます
というのも掃除やリネン類を交換する際には大量のホコリが舞い上がりますし、換気のために窓などを開けて実施するので、特に冬場だと寒くてたまらないですよね。
なので利用者が入浴している時間帯や、居室以外で過ごしている時間に実施するのがベストなタイミングだといえます。
いつも整理ができていて、清潔な環境で過ごすことができれば入居者の満足度も上がること間違いなしです。
レクリエーション
入居者に対してレクリエーションを実施するのも、特別養護老人ホームでの介護士の仕事です。
レクリエーションには
・頭を使うレクリエーション
・体を使うレクリエーション
の2パターンに分けることができます。
特にどちらが良い悪いということはなく、入居者が楽しめるレクリエーションをバランスよく実施することが大切だといえるでしょう。
入居者は施設という楽しみが少ない環境で過ごしているため、レクリエーションを楽しみにしている方は多いです
ぜひ入居者が楽しんで笑顔になれるレクリエーションを実施してみてください。
特別養護老人ホームで働くの介護士のスケジュール
特別養護老人ホームは入居者の生活の場です。
なので勤務時間が8時〜17時などの通所事業所とは違って、常に施設内に介護士がいなくてはならない環境だといえます
ほとんどの施設では早出、日勤、遅出、夜勤のシフト制を採用しています。
例として早出と夜勤のスケジュールをご紹介します。
例)早出のスケジュール
8時30分 出勤 夜勤スタッフから申し送りを受ける
9時 入浴介助
11時30分 休憩
12時30分 食事介助、服薬介助
13時30分 入浴介助
14時40分 おやつの準備
15時 おやつ
16時 排泄の誘導、排泄介助
17時30分 退勤
上記が早出のスケジュール例です。
ご覧のとおり、1日のスケジュールのほとんどが身体介護となっています。
続いて夜勤のスケジュールをご覧ください。
例)夜勤のスケジュール
16時30分 日勤のスタッフから申し送りを受ける
17時 夕食の準備
17時30分 夕食(食事の介助、服薬の介助、口腔ケアの介助)
19時 臥床の介助、着替えの介助
20時 消灯
22時30分 排泄介助
以降は定期的に居室を見回り、入居者に異変がないかを確認したり、他の夜勤スタッフと交代で休憩、仮眠をとります。
4時30分 排泄介助
7時 着替えの介助、起床の介助
7時20分 朝食の準備
7時30分 朝食(食事介助、服薬介助、口腔ケア)
8時30分 日勤スタッフへ申し送りを行う
9時00分 排泄の誘導、排泄介助
9時30分 退勤
上記のとおり、夜勤は勤務時間が長いので夜勤明けとその翌日は休みになります。
特養で役立つ資格とは
特別養護老人ホームで働く時に役立つ資格は次のとおりです。
・介護福祉士
・介護職員実務者研修
・介護職員初任者研修
介護福祉士資格は介護士の資格で唯一の国家資格です。
受験するには介護施設で3年以上の実務の経験、介護職員実務者研修の修了などいくつかの条件がありますが、取得すればどの介護施設で働くにも役立つ資格です。
介護職員実務者研修と介護職員初任者研修は、介護福祉資格と違って受講条件がないので誰にでも取得しやすい資格だといます。
また繰り返しになりますが、実務者研修は介護福祉士国家試験を受験するための受験条件のひとつです。
今後も介護士としてキャリアを積んでいきたいと考えている人は、ぜひ受講しておくことをオススメします
特別養護老人ホームで働くメリット
これから特別養護老人ホームで働こうと考えているのであれば、メリットとデメリットがあるので事前に知っておきましょう。
それでは、特別養護老人ホームで働くメリットをご紹介します。
介護技術が身に付く
繰り返しになりますが、特別養護老人ホームでの介護士の主な仕事は身体介護です。
そのため多くの施設が外部から講師を招き、介護技術の研修を行っています。
そのような研修に積極的に参加することで、無料で介護技術を学ぶことができるのがメリットでしょう。
給与条件が良い
特別養護老人ホームのもう一つのメリットが、他の施設と比べて給与が高い点です。
参考 厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果 資料140
上記資料の介護老人福祉施設が特別養護老人ホームにあたります。
ご覧のとおり、特別養護老人ホームの介護職員の平均給与額は全事業所でもっとも高い金額となっています。
なので少しでも稼ぎたい人は、特別養護老人ホームで働くメリットが大きいといえるでしょう
ここまでは、以上のようなメリットをご紹介しました。
しかしメリットだけではなく、デメリットもあるのでしっかり理解しておきましょう。
特別養護老人ホームで働くデメリット
つづいてデメリットをご紹介していきます。
平均給与額は全事業所でもっとも高いのですが、それには理由があるので覚えておきましょう。
体力、身体的な負担が大きい
メリットでも挙げられましたが、特別養護老人ホームでの介護士の主な仕事は身体介護です。
入居者の入浴介助や排泄介助などのケアは、想像以上に介護士の身体に負担がかかります。
実際に身体介護の影響で膝や腰を痛める介護士も多いので、体力的・身体的な負担が大きいのはデメリットだといえるでしょう。
生活リズムが不規則になる
早出、日勤、遅出、夜勤のシフト制の施設がほとんどなので、一定の生活リズムを保つことが困難です。
人にもよりますが、生活リズムの乱れが原因で体調を崩しやすくなったり、精神的に不安定になる場合もあります。
一定のリズムで生活したい人にとっては、特別養護老人ホームでの不規則なシフト制はデメリットだといえるでしょう
こんな人は特別養護老人ホームで働くのがオススメ!
特別養護老人ホームでの介護士の仕事は、体力勝負的な一面があるので体力に自信がある人にはオススメの職場です。
また研修に力を入れている施設も多いので、介護士としてスキルアップしやすい環境だともいえます。
他の施設に比べて給与条件も良いので、介護の現場で稼ぎたい人や、若い方にはとても魅力的な職場だともいえるでしょう
まとめ
今回は特別養護老人ホームでの介護士の仕事内容について解説しました。
実際に働いてみると分かるのですが、規則正しい生活ができなかったり、体力・身体的に負担が大きかったりと大変な職場ではあります。
しかしその反面、介護士としてスキルアップしやすい環境、給与条件が良いといった魅力的な職場だともいえます。
そんなやりがいのある特別養護老人ホームで、あなたも介護士として働いてみてはいかがでしょうか。