出産は人生において大切な出来事の1つです。
特に女性にとっての出産は、生活スタイルが大きく変わることになり、人生のターニングポイントといっても過言ではありません。
介護士として日々活躍されてる方のなかにも、出産したときに育休が取れるのか、取れるとしたらどのような手続きが必要なのかなど不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
今記事では、女性介護士の育休の取り方と育休明けの働き方についてわかりやすく解説します。参考にしていただければ幸いです。
介護士の育休の取り方
最初に女性介護士の育休のとり方について紹介します。
調べればわかることですが、期限などがあるので注意しましょう
申請方法
女性が育児休業を取得するためには、まず働いている職場に申出をする必要があります。
育児休業の申出期限は、法律で休業開始予定日の1か月前までと定められています。
したがって、産後休業に続けて育児休業をする場合は、産前休業に入る前や産前休業中に申出をおこないましょう。
申出には休業開始予定日や終了予定日などを明らかにする必要があり、申出は書面などによりおこなうことになります。
ちなみに出産日は産前休業として扱われます。
出産後、すぐに働くことはできず、出産の翌日から8週間は就業することができませんが、医師が認めた場合は、請求することにより産後6週から就業することができます。
企業の対応
これに対して企業(職場)側は、育児休業の申出者に対して育児休業開始予定日や終了予定日などを速やかに通知しなければならず、休業中の給与や休業後の配置などについてあらかじめ周知するよう努力しなければなりません。
また、産後休業期間及びその後・産前30日間の解雇は禁止されています。
育休に必要な条件とは
つづいて、介護士の育休に必要な要件を紹介します。
- 育休の要件
- 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
- 子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
- 子どもの2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了し、かつ、契約が更新されていないことが明らかでない
申出の時点において、期間の定めのある労働契約で働く方は上記の要件を満たすことが必要です。
参考 厚生労働省パンフレットより
そもそも育休とは、育児休業のことで「育児介護休業法」で定められている制度です。
正社員だけでなく、定められた要件を満たしていればパート、派遣、契約社員の方も取得することができます
注意したいのが適応されない場合の方です。
週の所定労働日数が2日以下の方や、日雇いの方は育休を取得できないので注意しましょう。
育休の期間はどれくらい?
では、育休の期間はどれくらい取得できるのでしょうか?
育休で休める期間は、原則子どもが1歳を迎えるまでと定められています
※産休から継続して取得する場合は、産休は出産予定の6週間前から連続して取得することができます。
1歳まで必ずとらなければいけないわけではなく、希望によって期間を短くすることも可能です。
一方で
- 保育園の空きがなく待機児童となってしまう場合
- 配偶者の病気・死亡といった事情がある場合
など、職場復帰が困難な事情がある場合は、子どもが一歳を超えたあとも育休が認められることがあります。
2017年3月の育児・介護休業法改正で、最大2歳まで再延長できるようになりました。
育休期間中は給与や手当などはあるの?
育児休暇中はどのような手当てが保証されているか気になりますよね
働けない期間中であっても手当などがあれば、金銭的な不安の解消にもつながります。
出産・育児をするにあたって支給される給付金をみていきましょう。
要件を満たすことで、受け取れる給付金は次のとおりです。
- 出産手当金
- 出産育児一時金
- 育児休業給付金
順番に詳しく紹介します。
出産手当金
出産手当金とは、出産のために会社を休業し、給与支給がない場合に健康保険から支給される手当金です。
支給額は1日あたり標準報酬日額の「3分の2相当」の金額となっています。
対象者は、出産日より42日前(双子以上は出産日98日前)から出産翌日の56日後までの期間に休業した健康保険加入者です。
出産育児一時金
出産育児一時金とは、何かと出費が重なってしまう出産費用の補助となるように健康保険から給付金が支給されている一時金です。
出産は、保険適用外となり出産に伴う高額な医療費を全額自己負担することになってしまいまうので、費用面を大きくカバーすることができます。
支給金額は、通常赤ちゃん1人につき42万円ですが、双子以上の場合は出産した赤ちゃんの人数分の金額が支給されます
対象者は、健康保険加入者もしくは配偶者の健康保険の被扶養者で、妊娠4か月(85日)以上経過した出産予定とされています。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、育休取得者に国から支給される給付金で、産休(産後休業)が終了した翌日から子どもが1歳を迎える前日まで支給されます。
育休を延長する場合は、条件に当てはまる場合は支給期間の延長も可能です。
対象者は、1歳未満の子どもがいる雇用保険の被保険者となります。
注意点として、育休取得日から過去2年間で就業日が11日以上の月が12ヵ月以上あること、休業中に職場から賃金の80%以上を支払われていない、かつ対象の期間中の休業日数が毎月20日以上であることが条件となっています。
産休明け後(復職)の働き方
子どもが生まれてから小学校入学するまでに復職した場合においても様々な制度が利用できますので紹介します
出産後、女性は介護士として働きながら子育てと両立しなければなりません。
紹介する制度を有効に活用していきましょう。
子供が1歳になるまでに復職する場合に利用できる制度
- 育児時間
- 生後1年に達しない子どもを育てる女性に対し、1日2回各々30分間の育児時間を請求することができる制度です。
- 時間外労働、休日労働、深夜業の制限など
- 産後1年を経過しない女性には、妊娠中と同様に配慮された勤務が適用になる制度です。
- 母性健康管理措置
- 産後1年を経過しない女性は、医師などの指示があったときは、健康診査に必要な時間の確保を申し出ることができる制度です。
- また、指示を受けた場合には、必要な処置を受けることができます。
子供が3歳未満まで利用できる制度
- 短時間勤務制度
- 会社は、一定の条件を満たす3歳未満の子どもを育てる労働者のために、短時間勤務制度(原則1日6時間)を設けなければなりません。条件などの詳細はこちらからご確認ください。
参考 厚生労働省 短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)についてより
- 所定労働の制限
- 会社は、一定の条件を満たす3歳未満の子どもを育てる労働者から請求があったときは、所定外労働をさせてはいけないと定められています。
条件などの詳細はこちらからご確認ください。
参考 厚生労働省HP
小学校入学前まで利用できる制度
- 子の看護休暇
- 小学校入学前の子どもを養育する労働者は、会社に申し出ることによって、有給とは別に1年につき5日間(子どもが2人以上なら10日間)病気、怪我の看護、予防接種、健康診断のために休暇を取得することができる制度です。
- 時間外労働、深夜業の制限
- 会社は、小学校入学前の子どもを養育する一定の労働者から請求が合った場合は、月24時間、年150時間を超える時間外労働を禁止している制度です。
また、深夜(22時から5時まで)においての労働もさせてはならないことになっています。
まとめ
女性介護士の育休の取り方と育休明けの働き方について解説しました。
育休は会社ごとに決められているのではなく、法律によって定められ条件を満たした労働者であれば誰でも活用することができる制度です。
子育てはやりがいがある反面、育児や資金面など考えなければならないことも数多くあります。
「少子化」は現在日本で抱えている大きな問題の1つ。
問題解決のため政府もさまざままな政策を打ち出しています。介護士としてのキャリアを守るため、家庭を守るため、子どもの健やかな成長ために積極的に制度を活用しましょう。