
こんにちわ、介護福祉士みきこです。
「親を施設に入れるなんて冷たいのでは?」
「最後まで家で面倒を見なければならない?」
そんなふうに悩んでいませんか?
介護に直面したとき、多くの人が「施設入居=悪ではないか」と自問自答します。
実際、介護の現場では「親を施設に預けるなんて、子として情けない」「自分で世話をするのが当然」という考えに縛られている人が少なくありません。
しかし、それは本当に正しいのでしょうか?私はそうは思いません。
むしろ、施設入居=悪ではないどころか、家族や本人のために最善の選択となることが多いのです。
介護は精神的にも肉体的にも非常に負担が大きいものです。
自宅で介護を続けることで、家族が疲弊し、共倒れしてしまうケースもあります。
施設は「家族が無責任だから利用するもの」ではなく、「家族と本人を守るための選択肢」なのです。施設を活用することで、本人が安全で快適な生活を送ることができるだけでなく、家族の負担も軽減され、より良い関係を築くことができます。
今回は、施設入居に関する誤解を解き、罪悪感を感じている方々に向けて、「自分を責めなくていい」ということをお伝えしていきます。
施設入居=悪ではない!介護の現実を知ろう
「親の介護は家族がするもの」という考え方は、現代においては必ずしも正しいとは言えません。
なぜなら、現代の介護環境は、昔とは大きく異なっているからです。
まず、日本の高齢化率は29%を超え、100歳以上の高齢者は9万人を超えています。
昔のように三世代同居が一般的だった時代と違い、現代は核家族化が進み、多くの家庭では「共働き」や「単身世帯」が増えています。
このような状況で、家族が一人で介護を担うのは極めて困難です。
また、医療の発展により平均寿命が延びたことで、介護の期間も長期化しています。
例えば、認知症を発症した場合、10年、20年という単位で介護が必要になることもあります。
長期間の介護を家族だけで担うのは、現実的に考えても非常に難しいことなのです。
このような背景からも、施設入居=悪ではないという考え方を持つことが大切です。
さらに、在宅介護には想像以上の負担が伴います。
例えば、認知症の方が夜中に徘徊をする場合、家族は夜間も気を張っていなければなりません。
トイレに間に合わず失禁してしまったり、突然怒り出したりすることもあり、精神的なストレスも増えていきます。
介護者が仕事を持っている場合、日中は仕事、夜は介護という生活が続き、心身ともに疲れ果ててしまうことも少なくありません。
このような現実を踏まえると、施設入居=悪ではないどころか、「適切な選択肢の一つ」として考えることが必要です。
施設に入ることで、本人は適切なケアを受けられ、家族は負担を軽減できるのです。
「家族で介護するのが当然」という考えの落とし穴
「親の面倒は家族が見るのが当然」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、その考え方は現実に即していない場合がほとんどです。
確かに、親を愛しているからこそ、自分の手で世話をしたいという気持ちは理解できます。
しかし、介護は愛情だけでは乗り越えられません。
例えば、家族が介護をすることで「介護疲れ」に陥るケースは非常に多いです。
食事の介助、排泄の介助、入浴の介助、服薬の管理、さらに認知症の対応まで、すべてを家族が担うのはほぼ不可能です。
特に認知症が進行すると、本人が家族のことを認識できなくなることもあります。
「誰だお前は!」と叫ばれたり、暴言を吐かれたりすることもあり、精神的に大きな負担となります。
また、仕事と介護の両立が難しくなり、退職を余儀なくされるケースもあります。
介護離職をすると、収入が減り、経済的な不安が増します。家族が無理をして介護を続けることで、生活そのものが成り立たなくなることもあるのです。
このような現実を考えると、「家族で介護するのが当然」という考え方が必ずしも正解とは言えないことがわかります。
むしろ、適切なタイミングで施設を利用することで、本人も家族も幸せに暮らせる可能性が高まるのです。
施設入居=悪ではないという考え方を持ち、「どうすればより良い介護ができるか」を考えることが重要なのです。
施設入居が本人にとっても良い選択肢である理由
施設に入ることで、本人にとっても多くのメリットがあります。
第一に、施設では専門的なケアを受けることができます。
例えば、食事は栄養バランスが考えられたものが提供され、入浴も介護スタッフのサポートのもとで安全に行うことができます。
また、リハビリやレクリエーションが充実している施設では、運動機能の維持や認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。
第二に、施設では他の入居者との交流が生まれます。
在宅介護では、どうしても家の中に閉じこもりがちになりますが、施設では同世代の方と一緒に過ごすことができ、社会的な刺激を受けることができます。
これにより、孤独感が軽減され、精神的な安定が保たれることも多いのです。
第三に、医療的なサポートを受けやすいという点も挙げられます。
高齢になると、持病を持っている方も多く、急な体調不良にも対応が必要です。
施設には看護師が常駐している場合が多く、必要に応じて医療機関と連携して対応することができます。
このように考えると、施設入居=悪ではないどころか、本人にとっても非常に良い選択肢になり得るのです。
まとめ
施設入居を決断することに罪悪感を感じる方は多いですが、実際には、施設を活用することで、本人も家族もより良い生活を送ることができるのです。
施設入居=悪ではないという考え方を持ち、無理のない介護を考えることが、最も大切なことではないでしょうか。
介護は一人で抱え込むものではありません。
施設という選択肢を活用することで、家族全員が幸せになれる道を選ぶことができるのです。
あなたの決断は間違っていません。無理をせず、本人にとっても家族にとっても最善の選択をしていきましょう。