ひとことに有料老人ホームといっても『介護付き』『住宅型』『健康型』の3つのタイプがあります。
それぞれの有料老人ホームに特徴がありますが、今回は介護付き有料老人ホームでの介護士の仕事内容について解説します。
介護付き有料老人ホームの仕事内容を理解すれば、就職後に「イメージしていた仕事内容と違った…」といった後悔をなくすことができます。
それでは、本文に進んでいきましょう。
介護付き有料老人ホームの介護士の仕事内容は?
介護付き有料老人ホームの介護士の主な仕事の内容は以下のとおりです。
・身体介護、生活援助
・レクリエーション
それぞれ解説していきます。
身体介護、生活援助
介護付き有料老人ホームで生活している入居者の介護度は様々です。
自身の身の回りのことなら問題なくできる介護度が低い入居者もいれば、加齢や疾病の影響により自分で起き上がることが難しい、いわゆる寝たきり状態の介護度が高い入居者もいます。
それぞれの入居者が必要としている適切なケアを行うのが、介護付き有料老人ホームでの介護士の仕事だといえるでしょう
例えば寝たきりの入居者に対しては、主に入浴介助やオムツ交換などの身体介護を行うことが多くなります。
逆に自立度の高い方に対しては、主に身の回りの整理や部屋の掃除といった、入居者が快適に過ごすことができるような生活援助を行います。
レクリエーション
多くの介護付き有料老人ホームでは、入居者の満足度を高めるためにレクリエーション(季節の行事や余暇活動)に力を入れています。
こういったレクリエーションの企画や進行というのも、介護付き有料老人ホームで働く介護士の仕事になります。
レクリエーションの企画は小規模のものから、大規模のものまで様々。
小規模のものだとカラオケなどの施設内で行えるレクリエーションですが、大規模なものになると施設から外出することもあります。
実際に私は、入居者に季節を感じてもらう機会を作りたいと思い、大型バスを貸し切って桜の花見に行く計画を立てたことがありました
当時は就職したばかりで要領が分からず、計画を立てるのに時間がかかってしまって、大変な思いをした記憶があります。
しかし目的地に到着して、満開の桜を見ている時の入居者の幸せそうな表情を見て「大変だったけど、やってよかった。」と感じたことを今でもハッキリと覚えています。
このようなレクリエーションの企画をすることも、介護付き有料老人ホームで勤務する介護士の仕事だといえます。
介護付き有料老人ホームで働く介護士のスケジュール
勤務する施設によって勤務体制やスケジュールは違います。
今回は私が以前に勤務していた施設のスケジュールを例に、介護付き有料老人ホームで働く介護士の1日を見てみましょう
例)日勤のスケジュール
9時 夜勤者から申し送りを確認
9時30分 入浴介助や排泄介助
10時 入居者が入浴している間にリネン類の交換、居室の清掃
11時 昼食の準備
12時 昼食(入所者へ昼食の配膳、食事介助、服薬の介助、昼食後の口腔ケア)
13時 トイレへの誘導や排泄介助
14時 レクリエーション、おやつの準備
15時 おやつ
16時30分 夜勤スタッフへの申し送り
17時 夕食の準備
17時30分 夕食(入所者へ夕食の配膳、食事介助、夕食後の口腔ケア)
18時 退勤
日勤の仕事は入浴介助や排泄介助、食事介助といった身体介護と、リネン類の交換や居室の清掃などの生活援助が主な仕事になります。
次は夜勤のスケジュールを見てみましょう。
例)夜勤のスケジュール
16時30分 日勤者からの申し送りを確認
17時 夕食の準備
17時30分 夕食(入所者へ夕食の配膳、食事介助)
18時30分 口腔ケア
19時30分 ベッドへの臥床の介助
20時 服薬の介助
20時30 トイレへの誘導や排泄介助、更衣の介助
21時30分 消灯
消灯後は定期的に居室を巡回して入居者に異変がないかを確認したり、コールの対応を行うのが主な仕事になります。
休憩や仮眠は他の夜勤者と交代しながら行います。
5時30分 排泄介助、更衣の介助と起床介助
6時30分 朝食の準備
7時30分 朝食(入所者への朝食の配膳、食事介助や服薬の介助)
8時 口腔ケア
9時 介護記録
9時30分 日勤者に申し送りを行い退勤
上記が夜勤のスケジュールです。
夜勤の仕事は排泄介助や更衣介助、起床介助などが主な仕事になります。
基本的に消灯後の時間帯は入居者が就寝しているので、普段の時間帯に落ち着いて行うことができない書類業務、介護記録といった仕事を行う介護士が多いですね
夜勤帯に起きた出来事や、入居者の変化などを日勤の介護士に申し送りをして退勤となります。
介護付き有料老人ホームで役立つ資格とは
介護付き有料老人ホームで働く時に、取得しておくと役立つ資格は次のとおりです。
・介護福祉士
・介護職員実務者研修
・介護職員初任者研修
介護福祉士資格は介護士の資格で唯一の国家資格です。
日本全国どこの施設で働く際にも、必ず役に立つ資格となっています。
介護職員実務者研修と介護職員初任者研修は、受講資格がないので誰でも取得することができます。
務者研修に関しては、介護福祉士国家試験を受験するための要件になっているので、将来的に介護福祉士資格を取得したいと考えている人は受講しておくことをオススメします
介護付き有料老人ホームで働くメリット
次は介護付き有料老人ホームで働くメリット・デメリットを見ていきましょう。
まずはメリットからご紹介していきます。
接遇マナーが身に付く
介護付き有料老人ホームは、特別養護老人ホームなど他の入居施設と比較すると高額な入居金が必要になるので、高品質なケアを求めている入居者が多い傾向があります。
そういった入居者は総じて、礼儀やマナーなどを重んじる方が多いといえるでしょう。
運営している施設としても、入居者が満足する生活を送れるように、接遇マナーの向上を目的とした研修に力を入れていることが多いです。
なので介護付き有料老人ホームで働くことで、質の高い接遇マナーを身につけることができるでしょう
身体的な負担が少ない
介護付き有料老人ホームは、特別養護老人ホームなどの入所施設と比べて入居者の介護度が低く、自立した方が多いのが特徴です。
自立した入居者が多いと身体介護を行う頻度が少なくなるので、結果的に介護士の身体的な負担が低くなります
なので体力に自信のない人や、腰痛などの不安を抱えている人にはとても働きやすい環境だといえるでしょう。
以上が介護付き有料老人ホームで働くメリットになります。
介護付き有料老人ホームで働くデメリット
介護付き有料老人ホームで働くことでのデメリットをご紹介していきます。
看取り介護を経験する場合がある
看取り介護を行っている施設が多いので、入居者の最期を見届ける経験をすることがあります。
人によって感じ方は様々だと思いますが、入居者が亡くなることに耐えきれない人もいるかもしれません。
実際に私は、入居者や利用者が亡くなることに耐えられずに退職していった介護士を数名見てきました
しかし上記のようなことがあると事前に知っておくことで、ほとんどの人が乗り越えられる問題だと思います。
こんな人は介護付き有料老人ホームで働くのがオススメ!
介護付き有料老人ホームは様々な介護度の方が入居しており、色んな介護スキルが身につく環境なので介護士としてスキルアップしたい人にはオススメです。
また介護付き有料老人ホームは、他の介護施設と比較して入居費用が高額な施設が多く、入居者は質の高いケアを求める方が多い傾向があります。
接客業などのコミュニケーション能力を求められるような仕事をしていた人は、介護付き有料老人ホームで働くのに向いている人だといえるでしょう
まとめ
介護付き有料老人ホームは、様々な介護度の入居者が生活している施設です。
様々な入居者に対してサービスを提供することになるので、色んな介護スキルを身につけることができる職場だといえるでしょう。
なのでこれから介護の仕事を始めようと考えている人や、介護士としてさらにスキルアップしたい人は、介護付き有料老人ホームで働くことを検討してみるのをオススメします。
きっと介護士として、ワンランク上の介護技術やスキルを身につけることができるでしょう。