「この先、介護福祉士の給料って上がるのかな・・・」
「介護福祉士として今のままの給料だと、将来が不安だな・・・」
おそらく介護の仕事をしている方なら、誰もが一度は感じたことのある不安ではないでしょうか。
実は、介護福祉士の給料はこれから上がっていくのは、わりと必然だったりします。
実際に国の介護福祉士に対する処遇改善の取り組みにより、全産業の平均賃金と介護職員の賃金の差はジワジワと縮まっています。
本記事の前半では「介護福祉士の給料が上がっていく理由」を解説しつつ、記事の後半では「介護福祉士が給料を上げていくポイント」をまとめています。
本記事を読み終えることで、これから介護福祉士の給料がどのように変化していくのか理解できるだけでなく、給料を上げるポイントが理解できるはずです。
それでは、さっそく本文に進んでいきましょう。
介護福祉士の給料が上がる理由
今後、介護人材の不足により介護福祉士の給料が上がっていくことは、ほぼ間違いありません。
なぜなら、今後介護人材が不足していくのは明らかで、国としては介護福祉士の給料を上げて介護人材を確保していくしかないからです。
実際に、すでに多くの介護サービス事業所からは「人手が足りない」という意見が多数上がってきていますし、私のところも正直人手が足りないくらいです
○ 足下で7割の介護事業所が、「従業員の不足感がある」と回答。
○ 従業員が不足している理由として、9割の事業所が採用の困難さ、2割が離職率の高さを挙げている。
上記のとおり、介護サービス事業所の介護業界の人材不足は年々深刻化していますね。
人材不足の理由として圧倒的に多いのが「採用が困難」という理由で、次いで多いのが「離職率が高い」という理由です。
要するに離職する介護人材が多いにも関わらず、新規の人材を採用することが難しい状況といえます。
そして人手が足りないと感じているのは、介護サービス事業所だけではありません。
現場で働いている多くの介護福祉士が「人手が足りない…」と日々悩んでいるのです。
この介護業界の人材不足は、今後さらに深刻化していく事が予想されます。
2025年問題により今後はさらに介護人材が不足していく
日本には第二次世界大戦終了後に生まれた団塊の世代が、約1000万人いると言われています。
そして2025年にはこの団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)に達することから、今後はさらに介護人材が不足していく可能性が高いです。
なので繰り返しになりますが、今後介護福祉士の給料が上がるのは、ほぼ間違いない事だといえるでしょう。
実はすでに給料は上がってきている
実は、介護福祉士の給料はすでに上がってきています。
なぜなら、国が今後さらに不足するであろう介護人材を確保する対策の一環として、介護福祉士の処遇改善に力を入れているからです
実際に国の処遇改善の取り組みとして、2015年と2017年には処遇改善加算が拡充されていますし、2019年には月額が最大+8万円される特定処遇改善加算が新設されています。
国の介護福祉士の処遇改善への取り組みについては、
○ 介護報酬改定により、2015年4月に月額平均1.3万円、17年4月に月額平均1.4万円の処遇改善を実施。
○ さらに、2019年10月から、経験・技能のある職員に重点化した上で、月額最大8万円の更なる処遇改善を実施。
リーダー級の介護職員について、他産業と遜色ない賃金水準を目指す。
上記のとおり、介護福祉士の給料は2015年から2019年の間に、月額で最大10.7万円も上がっているのです。
そして、今後はさらに介護福祉士の需要が高まっていくことが予想されます。
今後はさらに介護福祉士の市場価値が高まっていく
実際のところ、これまでの介護福祉士にはそれほど価値はありませんでした。
国は2021年4月より、サービス提供体制強化加算の上位区分を新たに新設することを示しています。
この介護報酬改定の内容の一部から、今後は介護福祉士の市場価値が高まっていくことが予想できます
算定要件は介護サービスの種類によって少し違うのですが、例えば通所介護(デイサービス)の最上位区分の算定要件で比較すると
現行:介護職員の総数のうち介護福祉士の総数の割合が50%以上
新設:介護職員の総数のうち介護福祉士が70パーセント以上 or 勤続10年以上の介護福祉士が25%以上
となっています。
少し理解しづらいかもしれないので、介護職員の総数が10名と仮定して説明します。
現行の算定要件では、介護職員の総数が10名の場合、介護福祉士資格を所持している職員が5名以上在籍していればサービス提供体制強化加算の最上位区分を算定することができます。
一方で新設された算定要件では、介護職員の総数が同じく10名の場合、介護福祉士資格を所持している職員が7名以上在籍しているか、勤続10年以上の介護福祉士が2.5人以上(常勤加算の計算方法を用いる)在籍している必要があります。
上記の比較のとおり、かなり加算要件が難しくなる印象です。
もちろん算定要件が厳しくなっているので介護報酬も上がっているのですが、上記の算定要件を満たすことが難しい事業所も多いのではないでしょうか。
逆にいうと、介護福祉士の市場価値が以前よりも高まっているともいえますよね。
介護福祉士が給料を上げるポイント
今後さらに介護福祉士の市場価値が高まり、給料が上がっていく理由がお分かり頂けたかと思います。
「じゃあ介護福祉士として適当に働いていれば、給料は上がっていくんですね。」
と思った方もいるかも知れませんが、1つだけ絶対に抑えておきたいポイントがあります。
それは、介護福祉士として同じ事業所で働き続けるということです
ここまでで解説してきた内容の所々で「リーダー級の介護職員」や「勤続10年以上の介護福祉士」といった文言が出てきていた事にお気づきでしたか?
これはつまり、リーダー級の介護士=その事業所で長年働いている介護士ということになりますし、勤続10年以上の介護福祉士ということは、文字通り同じ事業所で10年間働き続けている必要があります。
要するに介護事業所を転々と乗り換えているような方は、いつまでたっても最大限の処遇改善の恩恵を受けることができないということです。
実際、介護業界では職場の人間関係や環境が原因で退職する方がわりと多いです。
しかし、介護福祉士として給料を上げていきたいのなら、長期にわたって同じ事業所で働き続けることが必須条件になります。
なので職場を選ぶ際には、長期的に働くことができそうな事業所を選ぶことが重要になるということですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事で介護福祉士の給料が上がる理由と、介護福祉士が給料を上げていくポイントがお分かり頂けたかと思います。
今後、介護福祉士の市場価値はますます高まっていくことはほぼ間違ありません。
そしてその中でも介護福祉士として、同じ事業所で長期間にわたり勤務している人材の価値が高まっていくことが予想されます。
目前にせまっている2025年問題からも、今後ますます介護人材が不足していくのは間違いないことです。
国が介護人材を確保するために、介護福祉士の給料を上げていくことは必須条件なので、今後も介護福祉士の給料は上がり続けるでしょう。