こんにちは、私は女性介護福祉士みきこです。
この仕事を選んでよかったと思う反面、解決が必要な問題も多くあります。
その中でも「ワンオペ夜勤」は、職員の負担が大きく利用者の安全面でも疑問が残る制度の一つです。
今日は、このワンオペ夜勤がなぜ認められているのか、その背景と問題点を詳しく掘り下げていきたいと思います。
正直なところ、愚痴っぽくなるかもしれませんが、現場の切実な声として受け止めてください。
ワンオペ夜勤とはどのようなものか
ワンオペ夜勤とは、夜間に介護職員が1人で複数の利用者を対応する勤務形態のことです。
施設の規模や運営方針にもよりますが、20人以上の利用者を1人で見るケースも少なくありません。
私が働いている施設では、利用者が18名いるユニットを1人で担当しています。
一見、「夜は利用者が寝ている時間帯だから問題ないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、現実は全く違います。
利用者の中には頻繁にトイレに行きたがる方、不穏な行動をとる方、夜間に起き出して徘徊される方もいます。
また、転倒や急変などの突発的な事態が発生することもあります。それらに1人で対応するのは非常に困難です。
なぜワンオペ夜勤が認められているのか
この問題の背景には、介護業界全体が抱える構造的な課題が存在します。
- 慢性的な人手不足
介護職は肉体的にも精神的にも負担が大きく、離職率が高い職種です。
若い人材がなかなか定着せず、高齢化が進む利用者に対して職員の数が圧倒的に足りていません。
この人員不足が、ワンオペ夜勤を生み出す一因となっています。
- 施設の経営問題
多くの介護施設は、国の介護報酬に依存して運営されています。
しかし、この報酬は十分とは言えず、人件費を増やす余裕がないのが現実です。
夜勤に追加の職員を配置するためには大きなコストがかかるため、施設側も現状のワンオペ体制を変えられずにいます。
- 国の認識の甘さ
「夜間は利用者が眠っているから問題ない」と机上の空論で判断されていることも大きな原因です。
政策を決める側が現場を知らず、現場職員の声が十分に反映されていないことが現状を悪化させています。
ワンオペ夜勤が職員に与える負担
ワンオペ夜勤の何が問題かというと、まずは職員の負担が非常に大きいことが挙げられます。
- 身体的な疲労
夜勤中は、ほとんど休む暇がありません。
排泄介助、体位変換、ナースコールの対応、センサーマットの確認などをすべて1人で行うため、1分1秒を無駄にできない状態が続きます。
仮眠どころか、椅子に座る時間すら取れないこともしばしばです。
- 精神的な負担
急変や転倒といった緊急事態が発生した場合、対応をすべて1人で行わなければなりません。
この責任感は想像以上に重く、精神的なプレッシャーとなります。
また、夜間は相談できる相手がいないため、孤独感を強く感じることもあります。
- 健康への影響
過労やストレスが原因で体調を崩し、勤務中に倒れてしまう職員も少なくありません。
知り合いの施設では、夜勤中にクモ膜下出血で倒れた職員が救急搬送されたことがありました。
幸い命に別状はありませんでしたが、もしそれが命に関わる状況であればどうなっていたのでしょうか。
利用者への影響
ワンオペ夜勤の問題は、職員だけでなく利用者にも大きな影響を及ぼします。
- 安全の確保が難しい
転倒や急変などの緊急事態が発生しても、1人で全員の対応をすることは物理的に不可能です。
優先順位をつけて対応せざるを得ないため、他の利用者のケアが遅れることがあります。
- 安心感の欠如
利用者にとって、夜間に誰も助けに来てくれない状況は非常に不安です。
ナースコールを何度押しても来てもらえなかった、という経験が信頼を損ねる原因にもなります。
- 夜間の行動制限
職員の負担を減らすため、夜間に利用者の行動を制限する施設もあります。
これが利用者の生活の質を低下させる一因となっています。
ワンオペ夜勤に対する現場の声
現場で働く職員からは、次のような切実な声が寄せられています。
- 「利用者全員が寝ている夜なんてほとんどありません。ナースコールやセンサーマットが鳴りっぱなしで一晩中動き回っています。」
- 「自分が体調を崩しても、代わりの人がいないのでそのまま仕事を続けるしかありません。」
- 「早番が出勤してきたとき、夜勤者が倒れているのを見つけた話も聞きます。これでは誰も幸せになりません。」
ワンオペ夜勤を廃止するための提案
この問題を解決するためには、次のような施策が必要です。
- 人員配置基準の見直し
国が定める夜間の人員配置基準を現場の実態に即した形で改正することが急務です。
- 介護報酬の引き上げ
施設が余裕を持って人員を増やせるよう、介護報酬を適切に引き上げる必要があります。
- 労働環境の改善
夜勤者が休憩時間を確保できるような体制を整備し、職員の健康を守る取り組みを進めるべきです。
国や社会への期待
介護業界全体が抱える問題を解決するには、国や社会全体が協力して取り組む必要があります。
政策決定者が現場の声を聞き、現実的な改善策を打ち出すことが求められます。
また、一般の人々も介護の現状を理解し、介護職の負担を軽減するための社会的支援を考えるべきです。
まとめ
ワンオペ夜勤は、介護職員にとっても利用者にとっても大きなリスクを伴う制度です。
現場の声をもっと社会に伝え、改善への第一歩を踏み出す必要があります。
この文章を読んでくださった方が、少しでも介護業界の現状に関心を持っていただけたなら幸いです。
現場で働く私たちは、目の前の利用者のために日々努力を続けていますが、制度の改善なくしては真の安心・安全を提供することは難しいのです。
より良い未来を目指して、共に考えていきましょう。