近年、介護施設での虐待問題がニュースでも取り上げられるようになりました。
大部分の介護職員の方が誠実に仕事に従事している一方で、ニュースなどの影響で介護施設に対し一抹の不安を感じてしまう方もいるでしょう。
そんな中、多くの介護施設で監視カメラを設置し時には重要な証拠になり、時には介護職員を守るためにも活用されています。
今記事では、介護施設に監視カメラは必要?
介護職員はどう感じているのか紹介します。
介護施設に監視カメラがある実態
現代の介護施設は、監視カメラを設置しているところが大半を占めているという実態があります
歴史的な背景や理由で監視カメラの必要性を感じ、設置を決めている介護施設が増えているのです。
ではなぜ、介護施設に監視カメラが設置されるようになったのでしょうか。
分かりやすく紹介します。
監視カメラが設置されるようになった背景
まず、監視カメラが設置されるようになった背景には何があるのでしょうか?
「虐待」について世間に広く認知されるようになったのは2000年の児童虐待防止法がきっかけです。
さらに翌年の2001 年にはDV防止法が制定された。
以降「虐待」という言葉が世間にも認知されるようになっていき、過去の介護現場においても、現在ならば「虐待」と捉えられるような実態が当時から存在していることが明らかになっていきました。
2006年には高齢者虐待防止法も施行され、介護現場においても利用者の人権を守り、虐待を未然に防ぐ動きがさらに強まっていったという背景があります
なぜ介護施設に監視カメラが置くのか
今では色々なところに監視カメラを設置するのが当たり前になってきています。
それは介護施設だけではなく、路上などにも多く設置されていますよね。
では、介護施設に監視カメラを置く目的を4つ紹介します。
虐待などを防ぐ抑止力のため
施設側で監視カメラを設置することで、カメラを通じて第三者が自分の行動を把握していると職員が認知します
職員がカメラを意識することにより勤務姿勢や支援の向上が期待できます。
常に周りの目を気にして支援に従事することで、結果的に虐待への抑止力としての効果も期待できます。
有事の際のトラブル対策のため
入居者に怪我などの重大な事故が発生した場合、事実無根であっても職員による虐待を疑われる場合も残念ながらあります。
そこで介護施設として職員を守るために活躍するのが監視カメラです。
カメラで介護時の状況を録画・記録しておくことで、何らかの問題やトラブルが起こった時に無実の証明にすることができるのです
業務負担を軽減するため
職員は少ない人数で多くの利用者の支援をしながら安全を守らねばならず、オーバーワークになってしまう環境が多いです。
その際、監視カメラを有効に活用することで、支援の質を高めつつ、業務の軽減を図ることができます。
例えば「人感センサー」があります。
センサーとカメラを連動させることで、夜間の徘徊防止や突発的な事故を未然に防ぐことができます。
また、寝たきりの方を見守る手段の1つとして監視カメラを採用する施設もあります。
限られた人手を有効に扱うために監視カメラを設置するという目的もあるのです
防犯のため
監視カメラの本来の用途といえるのではないでしょうか。
介護施設では、入口・玄関付近やホーム周囲に防犯カメラを設置しているところが一般的です。
面会に来られた方の把握や、不審者の侵入を防ぐという防犯防止にも監視カメラを設置すると効果を発揮します。
このように、さまざまな理由で介護施設に監視カメラを設置されているという実態があるのです
介護職員の気持ちは?
では実際に監視カメラの存在は介護職員にとってどのような気持ちは持つでしょうか。
先ほども紹介したとおり、 監視カメラを介護施設に設置する理由は、職員にとって良い点もありますが、実際に監視される立場になるとよい気持ちとは言い切れません。
「常に監視されている」という気持ちを抱えながら支援に従事することは一定のストレスを感じてしまう可能性があります。
一方で、監視カメラは施設職員にとってメリットになる部分もあり、一概にいらないと言い切ることもできず、複雑な感情を持つ職員も多いでしょう。
職員のモチベーションを下げないためにも監視カメラを設置する際は、理由や目的を十分に説明する必要がありますね
ネグレクトが発生しないために
ネグレクトとは
幼児・高齢者などの社会的弱者に対し、その保護・養育義務を果たさず放任する行為のこと。
最近は、本人自身の基本ニーズ(衛生面、服飾面、食事など)を顧みない行為について、セルフ・ネグレクトと称することもある。”のことを指します。
介護施設として、あってはならないネグレクトを防ぐために監視カメラは有効です。
常に第三者目線を意識しネグレクトにつながる行為を抑止し、良い緊張感を持つことができ、支援の質向上につながります。
ネグレクトを発生させないために介護施設全体で、どのように監視カメラを活用できるのか話し合う機会をつくることで、監視カメラをネガティブなものとして捉えるのではなく、「職員を守る大切なツール」として認識してもらうことがポイントになります。
ネグレクトという言葉は、介護支援に従事する方ならほとんどの方が耳にしたことがあると思います。 虐待の1つであるネグレクトが世間でも知られるようになり様々な法律が考えられ施行されてきました。 この記事では、介 …
介護職員は信頼できないといわれてしまう理由は?
介護職は信頼できないと言われてしまう主な理由が考えられるでしょうか
冒頭でも紹介しましたが、介護に従事している大部分の方は仕事に対して真摯に向き合いながら支援業務にあたっています。
しかし一方で、「介護職員はいまいち信用できない」と感じてしまう一部の利用者やご家族の方がいることも事実です。
そこで、介護職員が信用できないと思われてしまうのはどのような理由があるのか紹介します。
利用者や家族の意思を汲み取れない?
介護職員が利用する側の意思を汲み取ることができないと、信用を勝ち取るのは難しいです。
本来、介護は利用者のより良い生活のために実施されますが、利用者の意思をおざなりにした結果、不信感につながってしまうケースがあります。
運営するうえでは施設としての意見も大切ですが、利用者や家族がどのような気持ちを抱えているのか常に考えながら接していく必要がありますね
職員、利用者(家族)とのコミュニケーション不足
不信感を感じてしまう理由にコミュニケーション不足も挙げられます。
家族とコミュニケーションが不十分で、ご家族に施設の様子など正確な情報を伝えることができない場合があります。
家族としては、情報が正しく分からないと施設に対して不信感や不安につながってしまいます。
そうならないためにも、普段から利用者はもちろん、家族との関係も良好に保つことで信用につながっていきます。
不信感を感じている利用者や家族に監視カメラは適正な支援をしていることの証明に役立ちます。
あくまで監視カメラは最終手段として、普段から利用者や家族との良好な関係を築いていくことが施設職員には求められます
まとめ
監視カメラと聞くと良い印象を受けないことが多いですが、介護施設において監視カメラはネグレクトなど虐待の抑止力だけでなく、トラブルを防ぐための強力な証拠になるなど、利点となる部分も多くあります。
職員の視点に立つと、監視カメラは「 信用されていない」 と 感じてしまいがちですが、今記事の紹介でもあったように、人手不足解消や業務軽減など良い面もあることが分かったのではないでしょうか。
本記事をきっかけに、改めて監視カメラのメリットや活用方法を見つめ直し、支援向上の一助になれば幸いです。