「介護の職場は新人を放置することが多いって聞いたけど本当?」
「就職して自分も放置されてしまったらどうしよう…」
上記のような不安を感じたことはありませんか?
実は、介護職はほかの職種よりも新人が育ちにくい環境だといわれています。
そこで今回は「新人介護職をとりまく介護現場の現実」を解説するとともに、就職活動の際に実践できる「良い職場の選び方」をご紹介していきます。
それでは本文に進んでいきましょう。
新人介護職は放置されてしまう現実!
全ての介護現場で新人介護職が放置されているわけではありませんが、一部の介護現場で新人介護職が放置されているのも現実です。
これに対して
「放置するなんてひどい!」
「新人を教育するのも仕事だろ!」
という声が聞こえてきそうですが、実は新人介護職が放置されるにはいくつかの理由があるのです。
そこでここからは、新人介護職が放置されてしまう理由をご紹介していきます。
主な理由は次のとおりです。
・新人を教育する余裕がない
・教育できる人材がいない
・マニュアルがない
・職人気質の考えが残っている
・職場に教育する習慣がない
それぞれを順番に解説していきます。
新人を教育する余裕がない
新人介護職に対して終日付き添い、手取り足取り指導できるほど人材に余裕のある介護現場は少ないです。
これは以前から言われていることであり、介護業界は慢性的に人手が不足している状況が続いており、そういった理由から放置されている新人介護職も少なくありません
実際に厚生労働省が行った「平成29年度介護労働実態調査調査」では、全体の約66.6%の介護事業所が人手が足りないと感じており、その割合は年々右肩がりに上昇しています。
参考元:厚生労働省「介護人材の確保・介護現場の革新」より
基本的に新人介護職に対する教育は、一般の介護職ではなくリーダーやサブリーダーのような役職者が行う場合が多いです。
しかし役職に就いている介護職は「現場の仕事+役職者の仕事」を受け持っていることが多く、現場をほかの介護職に任せて書類業務や事務仕事などに追われている場合も少なくありません。
もちろんそのような状態では新人介護職を教育できるはずもなく、結果的に「何か分からないことがあればほかの職員に聞いて」となり、右も左も分からない新人は放置されてしまうということになります。
教育できる人材がいない
新人介護職の教育ができる人材がいないというのも、放置されてしまう理由のひとつだといえます
基本的に介護職は介護の技術や知識を学んでいますが、それらを人に教える方法は学んでいないことが放置に繋がる原因だといえます。
なのでいざ新人介護職に仕事を教える場面になると
「どう教えれば伝わるんだろう…」
といった感じで、何をどのように教えればいいのか分からない状況になることも少なくありません。
他人に何かを教えるのはとても難しく、仮に自分は「この説明で分かるだろう」と感じていても、実際には相手にまったく伝わっていないことも多かったりします。
これは日頃から他人に物事を説明していないことが原因だといえます。
自分の中では理解している物事だとしても、それを他人にうまく伝えるのは簡単ではありません。
この問題を解決するには、日頃から他人に物事を説明する機会を増やし「どうすれば伝わりやすいか」や「こうすると伝わらない」といった体験をすることで、自然と物事を伝えられるようになるので、教育担当を任されている方は日頃から意識して物事を説明しておくことをおすすめします。
そもそもマニュアルがない
新人教育のマニュアルがないことも、新人介護職が放置される原因のひとつです。
前項で解説したとおり、他人に物事を教えるのは簡単ではありません。
またほとんどの介護事業所はシフト制なので、毎日同じ職員が新人介護職の教育にあたることは現実的ではないといえます。
そんな時に新人教育のマニュアルがあれば、一貫性のある教育を行うことができます。
しかし実際にはしっかりとマニュアルを準備している事業所は少なく、マニュアルがあったとしても十分に活用できていないことが多いです
このような状況だと新人介護職は「教えてくれる先輩によって言っていることが違うのですが、誰の言っていることが正しいんですか?」といった状態になってしまい、そのような質問をされた教育担当者は「面倒な新人だな…」と感じ、結果として放置してしまう原因になってしまいます。
介護の世界には職人気質な考えが残っている
職人気質な考え方をもっている介護職がいることも、新人介護職が放置される原因のひとつだといえます。
「分からないことがあれば自分から聞きに来るのが当たり前」
「聞いてばかりじゃなくて、見て覚えることも必要」
このような時代遅れの考え方で、新人介護職を放置している事業所も存在します。
特に若い介護職が少ない事業所では、このような考えをもっている方が多い傾向があります。
職場に教育する習慣がない
「それくらいできるでしょう」
「言わなくても分かるでしょう」
上記のような理由を並べて、新人介護職に対して教育する習慣のない事業所も存在します。
特に「介護職員初任者研修」などの実務経験がなくても取得できる資格をもっている新人職員は、放置されることがあるので注意が必要だといえます
なぜなら資格を取得しているので、実務経験がなくても「研修で習ったんだから出来て当たり前」と思われてしまうからです。
実際にある職場の実態
介護の職場は閉鎖的な環境になりやすく、外部の人間があまり知ることができない実態があります。
特に介護の職場では、人間関係の悪さが挙げられるでしょう。
人間関係が悪い職場は職員同士のコミュニケーションが不足している場合が多く、これでは新人介護職の教育に対しての情報共有、引き継ぎがうまくいくはずがありません。
実際に私がこれまで見てきた職場の約半数は、職員間の人間関係に問題を抱えていました
この、介護の職場の人間関係の悪さが新人介護職の放置につながっている実態だといえるでしょう。
介護現場は新人が育たない!?
もしかするとここまで読んだ方の中には「そんなにひどい職場ばかりなら、介護職になるのはやめておこう…」と感じるかもしれませんが、少し待ってください。
実際に新人介護職が放置される事業所は存在しますが、介護現場で新人が育たないのかというと、実はそんなことはありません。
なぜなら新人介護職を放置しているのは一部の介護事業所であって、多くの事業所ではしっかり新人を教育するシステムが確立されているからです。
ですから勤務する介護事業所の選択を間違わなければ、新人介護職だとしても問題なく成長することができます。
では、どうすれば新人を放置する事業所を見分けることができるのでしょうか。
実は、良い職場は就職する前に見分けることができるのです
ここからは良い職場の見分け方について解説していきます。
新人介護職でも分かる!良い職場の見分け方
良い職場の見分け方は次のとおりです。
・頻繁に求人募集が出ていないか
・利用者が楽しそうか
・コミュニケーションが取れているか
順番にそれぞれ解説していきます。
頻繁に求人募集が出ていないか
「この事業所はいつも求人を募集しているな」
このような事業所は、何かしらの原因で職員の出入りが激しくなっている場合が多いので注意が必要だといえます。
そして何かしらの原因とは、人間関係が悪い場合が多いからです。
実際に私が住んでいる地域には、常に求人を募集している事業所があります。
そしてその事業所の求人募集がなくなることはありません。
というのも私の地域の介護職のあいだでは、その事業所の人間関係が悪いことは有名なので求人に対して応募しないからです。
このように頻繁に求人を募集している事業所は人間関係が悪いことが多いので、特に新人介護職の方は注意が必要だといえます
利用者さんが楽しそうか
求人に応募した際は、必ず施設の見学を希望して職場の雰囲気を確かめましょう。
良い事業所かどうかは、利用者さんの反応を見ればわかることが多いからです
職員の人間関係が悪くなると職場の活気がなくなってしまいます。
活気のない事業所は利用者さんを楽しませようという取り組みをしなくなる場合が多いので、結果として利用者が楽しめない事業所となります。
なので施設を見学した際は、必ず利用者さんが楽しそうにしているかを確認してください。
コミュニケーションが取れているか
職員間のコミュニケーションが取れているかも、良い職場を見分ける際に重要となります。
これも面接の際に、施設の見学をしながらチェックすることをおすすめします。
職員間のコミュニケーションのほかにも、職場の雰囲気も確認しておきたいポイントです
「雰囲気が暗い」や「職員に笑顔が少ない」などは、事業所に問題がある可能性があるので、就職を検討する際は注意が必要だといえます。
まとめ
実際に新人介護職を放置する事業所は存在します。
しかし全ての事業所にそのような実態があるわけではありません。
環境の良くない事業所を見分けるポイントを理解して、良い事業所に就職することができれば、未経験の新人介護職でも一人前の介護士に成長することができるでしょう。